その機嫌の悪さは「便秘」が原因かも? 冬に多発する子どもの便秘。救急外来というケースも【小児科医監修】
便秘が原因の腹痛で救急外来を受診するケースも。便秘で受診のタイミングとは?
「大学病院の救急外来では、便秘が原因で腹痛を起こして受診する子が、週に2~3人はいます」と二瓶先生。病院で浣腸をすると大量の便が出て、子どもはすっきりした顔になったりするとのこと。 救急外来での受診に至らぬようにするには、どういったことを目安にして受診すればよいのでしょう。 「普段の排便リズムを把握しておき、その排便間隔がいつもより長くなって不機嫌な様子が見えたり、コロコロした固いうんちが出たり、便に血がついていたり、排便の際に痛がって泣く、おなかが張って苦しそうにしているなど、便秘が疑われる症状が見られたら早めに受診するのが望ましいですね」(二瓶先生) 便秘の診断は、便の回数や硬さなどを尋ねる問診や、おなかを触る触診などによって行われ、必要に応じてレントゲン撮影や超音波検査が行われることもあります。便が大量に溜まっているとわかれば浣腸をして便を排出させます。 ■便秘を放置していると症状を助長する悪循環のサイクルに 便秘を放置していると、症状がひどくなって治りにくくなります。特に便が硬くなって排便の際に痛い思いをすると、次に便意を感じても痛みを思い出して我慢をしてしまいます。すると、腸の中に便が長く滞留することとなり、腸が便から水分を吸収して、ますます便は硬くなります。 腸に便がどんどん溜まることで腸が広がってしまい、便に対する腸の感受性が悪くなり(便が溜まっていることを感じて脳に伝達する力が低下し)、便意が生じなくなり、ますます便が腸に溜まっていき、さらに腸が広がってしまうという悪循環が生じます。 この悪循環に陥ると便秘が慢性化し、それが1~2か月続くと「慢性便秘症」と診断されます。
子どもの便秘 3つの解消ポイント
1食生活の見直しを。間食おやつのダラダラ食べはNG 子どもが便秘になったときには、食生活を見直してみましょう。食物繊維の少ない食べ物ばかり食べていると便秘になりやすいので、食物繊維が豊富な食材を意識してメニューに取り入れましょう。 食物繊維には、便を軟らかくする働きのある水溶性の食物繊維と、便のかさを増す不溶性食物繊維があります。基本的には2種類ともバランスよく取るのが効果的だと言われています(便秘の状態によっては不溶性食物繊維を控える場合もあります)。 <水溶性食物繊維を含む食材> わかめ、昆布などの海藻類。オクラ、モロヘイヤ、アボガド、納豆、こんにゃく、きくらげ、山芋など。 <不溶性食物繊維を含む食材> ほうれん草、キャベツ、ゴボウ、サツマイモ、きのこ類、豆類など。 規則正しくしっかり食事を取ることが大切なので、おなかが減らなくなるような過剰な間食はやめましょう。特にスナック菓子などをタラダラ食べていると、食事のリズムがとれません。また、水分不足にも気を配りましょう。 2適度な運動と早寝早起き、朝ごはん また、しっかり空腹を感じられるように、日中に適度な運動をすることが望まれます。体を使った遊びで腹筋が動かされると、腸への刺激にもなります。 さらに、生活リズムが乱れると、食事のリズムも乱れがちになるため、早寝早起きをすることも大切です。 朝食をしっかり食べるには、時間のゆとりが必要となります。離乳食期のお子さんの場合、ベビーフードを活用してもよいでしょう。朝食を食べてから登園・登校前に排便ができれば理想的です。そのためにも早起きが重要となります。 3お風呂上がりにお腹のマッサージ おなかのマッサージをすることも、軽い便秘であれば有効です。特に乳児期にはおむつ替えの際やお風呂上がりにマッサージを。おへその周りを「の」の字を書くように、指の腹と手のひらで優しくマッサージをしましょう。 また、便意はリラックスできる副交感神経が優勢なときに感じます。トイレの環境や、排便に関する大人の声がけなど、子どもが排便で緊張することがないよう心がけましょう。