じつは履いた瞬間は分からない…ほんとうに「良い靴」だけが持っている「驚きの効果」
亡き母の工房を継いだ靴職人を主人公にした『靴の向くまま』(モーニング・ツー連載中)が靴好きを中心にじわじわと浸透中。作中では革靴、パンプス、スニーカー問わず、主人公の結彩が登場人物に寄り添い、心を込めた靴作りをしていく。その過程がかなり細かく、プロの靴職人や関係者からも一目置かれている。 【マンガ】靴業界注目!『靴の向くまま』を読む 実際、オーダーメイド3DシューズブランドAYAMEには、『靴の向くまま』を読んでオーダーする人もいるという。オーダー靴の世界は今、どうなっているのか? 『靴の向くまま』の原作者みやびあきのさんと、AYAMEの代表取締役CEOの諏訪部梓さん、AYAMEシューラストデザイナー・島倉和也さんに話を聞いた。
オーダー靴の世界
ーー『靴の向くまま』を読んでオーダー靴を作られる方もいるとか? 諏訪部:AYAMEでは単行本を持参された方には1冊1100円引きというキャンペーン(4巻発売記念は2024年9月末まで)を勝手にやらせて頂いているのですが、今回の単行本の発売すぐに4冊まとめて買った方が来店してくださいました。 みやび:単行本が出るのを待っててくれたんですかね。巻を重ねていくとどんどん靴に関して描きたいことが増えてきて、内容がマニアックになりすぎないように苦心していますが、奥深い世界世界で自分では気づかないところで間違っていないかと心配になってしまったり。 島倉:靴作りはそれぞれ人によってやり方が違うので、みやび先生の視点でよいと思います。 みやび:なので2巻からは監修にシューフィッターのこまつさんに参加して頂き、 相談させていただいています。
既成靴を買うときにも役立つ情報を
ーー作品づくりで意識されているところは? みやび:オーダー靴自体が日本ではメジャーではないので、革靴のオーダーだけに頼った話にはしないようにと思っています。サイズ選びだとか、既成靴を買うときにも役立つ知識を入れようと心がけています。 諏訪部:3巻で紳士靴のブランドを国別にまとめられていた表がありましたが、あれはわかりやすくて良かったです。意外とああいうのってないんですよ。 みやび:ファッション誌の特集記事などはたまにあるんですけど、あそこまでシンプルにまとめたものはなかったと思うので頑張りました。小さなコーナーなのに凄い時間かかってしまったんですけど(笑)。 ーーイラストもキャプションも手描きなのでわかりやすいです。 みやび:人物より靴を描くほうが時間がかかるんです。各ブランドの特徴を捉えないといけないし、キャプションも手描きだし、監修のこまつさんや校閲さんにも細かくチェックしていただきました。 ーー婦人靴の表も興味深かったです。 みやび:好評だったので婦人靴バージョンも描きましたが、婦人靴は紳士靴のように国別で分けることができず、ファッションデザイナーが創業者なのか、靴職人が創業者なのかで分けました。 諏訪部:面白い視点ですよね。婦人靴は芸術品としての領域もあるので、“履ける”という概念とはまた違うものになるんだと思います。