フレンチ・エレガンスを極めたピエール・バルマンの美ドレス【前編】
「ニュー・フレンチスタイル」と言われた革新的なデザインで、1950年代のモード界に一大旋風を巻き起こし、クリストバル・バレンシアガ、クリスチャン・ディオールと並び3大デザイナーと呼ばれたピエール・バルマン。フェミニンで洗練されたスタイルは当時のセレブリティたちを虜に。映画や舞台衣装のデザインも積極的に手がけた彼がこれまで生み出したドレスの数々を年代別に振り返ります。
ピエール・バルマンってどんな人?
1914年、フランスのサン・ジャン・ド・モーリエンヌ生まれ。父は紳士服の卸業、母はブティックを経営し、幼少時代より洋服に強い関心を持ち育ちました。パリ国立美術学校で建築を学んだ後、モードの道へ。エドワート・モリヌー、ルシアン・ルロンのメゾンでキャリアを積み、1945年に「ピエール・バルマン」を設立。1950年代に一世を風靡、顧客にはヴィヴィアン・リー、マレーネ・ディードリッヒ、ブリジット・バルドーなど当時の大女優たちが名を連ねました。
1951年
愛や美を讃えた薔薇の花は、ピエール・バルマンを象徴するモチーフ。立体的な薔薇がロマンチックに咲き誇るオフショルダーのタフタドレスは、彫刻的なフォルムでありながら、スカートの柔らかな曲線美や甘いディテールが絶妙にミックスされています。
1953年
力強いショルダーや絞ったウエスト、緻密に作り出されたボリュームとシルエット。バルマンが打ち出した「ニュー・フレンチスタイル」は、彼が若い頃に建築を学んだことにルーツを遡ります。
1954年
パリのノートルダム大聖堂を背に、バルマンのウエディング・ドレスを着てシューティングをするモデル。メリハリの効いたシルエット、立体的なプリーツがドラマチックな陰影を描いています。
1954年 オードリー・ヘプバーンの結婚式
オードリー・ヘップバーンが最初の夫、俳優のメル・ファーラーとの結婚式にてまとったウエディング・ドレスは、バルマンによるデザイン。ハイネックにボリュームのあるパフスリーブ、ウエストのビッグリボンなど、清楚さと可憐さに満ちた一着です。