森保J合流の久保建英が語ったスペインでの変貌と自信
日本代表の活動そのものに長期のブランクが生じている間に、久保建英は大きな変貌を遂げていた。 6月に19歳になり、8月にはレアル・マドリードからの期限付き移籍先がマジョルカから強豪ビジャレアルへと変わっただけではない。自らの現在地に対する自信を膨らませ、新型コロナウイルス禍でサッカー選手が果たすべき役割を明確に思い描きながら、満を持して森保ジャパンに合流した。 「自分で言うのも何ですけど、スペインは世界の現状でトップリーグのひとつだと思います。去年と違うところは何かと言われると、トップリーグでの経験を積んできたことが確かな自信となって自分のなかにある。ひと段階上のレベルの選手でいる、ということを今回の代表でつかんでいけたら、と」 カメルーン代表との国際親善試合(9日、スタディオン・ハルヘンワールト)へ向けて、日本代表が現地時間5日に試合会場のあるオランダ・アーネム近郊で始動。練習開始前にオンライン取材に応じた久保は、ラ・リーガ1部での戦いをへて手にした自信を確固たるものに変えたいと力を込めた。 ヨーロッパ組を含めた陣容で森保ジャパンが活動するのは、キルギス、ベネズエラ両代表と対戦した昨年11月以来となる。もっとも、そのときの久保は東京五輪世代となるU-22代表に専念していた。フル代表への招集は同10月シリーズまで、ちょうど1年さかのぼることになる。 当時の久保は昨シーズンの開幕直後に加わったマジョルカで、先発を射止められない立場だった。しかし、苦闘の軌跡は今年3月から右肩上がりへと急変。新型コロナウイルスによる中断から再開された6月以降は、最終的に2部へ降格したマジョルカで代役のきかない存在感を放ち続けた。
「互角以上の試合ができないこともありましたけど、マジョルカで常に格上の相手、もしくは同格の相手と渡り合った、という自信が自分のなかにあるので。そこは(対戦相手を)リスペクトしつつも、自分に自信をもってプレーできるのかな、と思っています」 3月、6月、そして9月に予定されていた日本代表の活動を白紙にした新型コロナウイルスは、スペインを含めたヨーロッパ全土で日本以上に猛威を振るった。スペインでは厳格な都市封鎖が実施され、フランスやオランダなどではサッカーのリーグ戦が中断したまま打ち切られた。 「自分の周りでも『今年のシーズンはもう終わりだ』と、思っていた選手が大半でした。一人の選手としての意見なので正解、不正解はないですけど、世界的なパンデミックがあった後でも、いろいろなことが正直、自分が思っていたよりも早く復旧した。(スペインで)サッカーの練習を早く再開できたことも、リーグ戦を終わらせることもできたのは、一人じゃできないこともいろいろな人が力を合わせれば実現できる、という具体例のひとつになったと思っています」 リーグ戦が再開された6月以降の日々をこう振り返った久保は、無観客の状況でも変わることのなかった、サッカーを心から愛し続ける各クラブのファン・サポーターへ感謝の思いを抱き続けた。 「他のスポーツに対してあまり詳しくなくて申し訳ないんですけど、いろいろなものが制限されているなかで、サッカーというのはその国で暮らす人々にとっての数少ない娯楽になったと思っています。いろいろな方々の協力を得て、こうして(代表戦を)開催できる状況になったので、その意味では自分たちへの期待を結果や内容で返していくのは、今回に関しては恩返しというか、ひとつの義務になるのかな、と思っています」 18歳になった直後の昨年6月のエルサルバドル代表との国際親善試合でフル代表デビューを果たし、直後にFC東京からレアル・マドリードへ電撃移籍。世界中を驚かせた久保だが、東京五輪世代を中心とした陣容で臨んだコパ・アメリカを除いては、まだ先発出場を経験していない。