サラリーマン生活に挫折、イラストレーターに転身した「宮内ヨシオ」の創作の原点…NHK『いないいないばぁ!』のアニメも手掛けた
不安な世の中で、毎日の仕事や生活に疲れている人々が、改めて問い直したい命への想い。そんな今、「生きる力」や「幸福」をうたい、生きる喜びを味わえる絵本が刊行された。 【写真】『生きてるってどういうこと?』宮内さんが描いたのパンダがかわいすぎる ことばを寄せたのは、詩人であり、『マザー・グースのうた』、スヌーピーシリーズ『ピーナッツ』の翻訳でも知られる谷川俊太郎さん。動物や植物を美しく精緻に描いたのは、イラストレーターの宮内ヨシオさん。 二人のコラボレーションが、見る人に安らぎと希望を与える本を生み出した。アート名言集『生きてるってどういうこと? 』のことばと絵には、どのような想いが込められているのか? 谷川俊太郎さんと宮内ヨシオさんに、その想いを語り合っていただいた。
つらい思いをしている人たちが癒される本に
詩人の谷川俊太郎さんは1931年生まれ。『二十億光年の孤独』で詩人としてデビュー(1952年)、「月火水木金土日のうた」で第4回日本レコード大賞作詞賞を受賞(1962年)、『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞を受賞(1975年)するなど、1964年生まれの宮内ヨシオさんが子どものころには、すでに世に知られた存在だった。 宮内ヨシオさん(以後、宮内):僕が最初に谷川先生を知ったのは、小学2年生のころです。近所のお寺にある幼稚園でやっていた絵画教室に、毎週通っていました。 幼稚園ですから、絵本がたくさんあります。そこで最初に読んだのが、『ことばあそびうた』でした。谷川俊太郎さんが詩を、瀬川康男さんが絵を描かれた絵本です。「かっぱかっぱらった かっぱらっぱかっぱらった……」といった、楽しいことばあそびがたくさん載っていて、大好きな本でした。 その頃よく通っていた書店に、この間、行ってみたところ『ことばあそびうた』を見つけたんです。すごくうれしい再会でした。ちょうどそんなときに、谷川さんと対談をするお話をいただいたんです。 今回のアート名言集『生きてるってどういうこと? 』は、谷川俊太郎さんの詩に宮内ヨシオさんの絵を組み合わせるという試みだ。 宮内:僕はイラストレーターですから、ふだんはテキストに絵をつけているのですが、今回は絵と詩を併せていただくという非日常的な仕事でした。しかも、ことばをいただくのが谷川俊太郎さんと聞いたときに、ほんとうにびっくりして、感激してしまったんです。 アート名言集『生きてるってどういうこと? 』は、「生きる力や生命力について考える」ことがテーマとなっている。透明水彩絵の具によって描かれた四季折々の植物に彩られた世界で、さまざまな動物たちが豊かな表情を見せる絵に、谷川さんのことばを合わせてある。 宮内:僕としては、この絵本を小さい子どもたちにも読んでもらいたいし、見てもらいたい。そして、それ以上に、今、つらい思いをされている人たちが、谷川さんのことばによって癒されればいいなと思っています。