サラリーマン生活に挫折、イラストレーターに転身した「宮内ヨシオ」の創作の原点…NHK『いないいないばぁ!』のアニメも手掛けた
絵は心を自由にしてくれる
宮内さんは多摩美術大学美術学部デザイン科染織デザイン専攻を卒業後、就職する。しかしサラリーマン生活に挫折、イラスト事務所に転職しイラストレーターとなる。 毎日絵を描いて収入を得られることに感動したという。やがて独立し、企業のカレンダーや、NHK Eテレ『いないいないばぁ! 』の歌のアニメーションなどを手掛けるようになる。 宮内:先ほど谷川先生は「詩は自由だ」とおっしゃっていましたが、絵も自由なんです。色も形も大きさもとらわれなくていい。僕の絵は起承転結のストーリーがあるわけではなく、一瞬を切り取った一場面のようなものなんです。そして、この絵のあとの展開を想像してもらえたらいいなと思うんです。 「このさくらんぼの木の下を歩いているヒツジは、この後どうなるの?」 「このロバと子どもは、何を話しているのかな? 荷物を背負って、どこに行くのだろう」と……。 僕のカレンダーの絵を見たお母さんから、「毎晩寝る前に、子どもと一緒に宮内さんの絵を見て、その後のお話を考えるんです」というお手紙をいただいたことがありました。 絵を見ることで自由な想像を膨らませ、明日に向かって歩いていける手がかりの一端になれたら、こんなうれしいことはありません。今日はお会いできてうれしかったです。ありがとうございました。 谷川:僕はもう92歳で、初めての人に会う機会が少なくなってきていてね。だから、こうやって、これまであまり一緒に仕事をしてこなかった人に会って、新鮮な気持ちで話をするのは、自分のエネルギーになるんです。今日はおかげさまで楽しく話ができました。ありがとうございました。 (構成・文/高木 香織)
谷川 俊太郎(詩人)/宮内 ヨシオ(イラストレーター)/高木 香織(編集・文筆業)