「結構ボリュームがある」「この値段でこの美味しさは凄い」…。ガストの「1990円・高級フレンチ」に見るファミレス業界の変容
そして、先ほども見た通り、デニーズも代表的な中価格帯のファミレスであり、なんとも中途半端な位置に置かれていることは確かである。実際、その店舗数は少しずつ減っており、そのポジショニングに苦慮しているところは否めない。 そして、コース料理の提供においてもガストと比べると、どこかその際立った特徴が掴みづらく、話題になりづらいのではないか。中価格帯店の厳しさが、思わぬところからも明らかになる形となったように、筆者には感じられた。
■コース料理の提供にも、中価格帯ファミレスの厳しさが見える ガストのフレンチコースがここまで話題を呼んだのは、最近のガストが値下げを行い、低価格路線を突き進んでいたからだろう。そんな中、こんなメニューが!? というところに驚きがあった。 実際、1990円のメニューはガストにしては高く、店の方向性とのミスマッチ感も否めないが、期間限定なこともあって、これだけ話題になれば十分、ということなのかもしれない。
久々に足を運ぶことで、「ガストって、意外といいな」と思う消費者も少なくないだろう。そう考えると、広告費という意味でも、十分元は取っている、ともいえそうだ。 逆に、なまじ少し高級路線を取っているデニーズがコース料理などの取り組みで話題にならないことを見ると、中価格帯のファミレスが置かれた厳しさが、より一層際立つのである。
谷頭 和希 :都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家