先輩の指示通りに動けない…「女子トーク」にも溶けこめずに孤立した「発達障害グレーゾーン」の女性が自分らしく働けるまで
公認心理師として行政や企業などの職場で約1万人の悩みを聴いてきた舟木彩乃さんは、相談ごとの中に、発達障害グレーゾーンの特性から来る問題がひそんでいることが多いと話します。 【マンガ】息子の暴力が止まらない…発達障害と向き合う「母の悩み」 病院で診断を受ける「発達障害」とはちがう「グレーゾーン」とはどのようなものなのか、周囲はどのように対応すればよいのか。『発達障害グレーゾーンの部下たち』より一部抜粋・編集して解説します。
失敗に嫌悪感を抱き、抑うつ状態になることも
Gさんは現在も事務職の契約社員ですが、小学校のPTA役員をするようになってから、家庭と仕事の両立が大変になってきたということでした。現在の派遣先は比較的ゆっくり仕事をさせてもらえて、上司もいろいろとフォローしてくれる職場のようで、今までよりも落ち着いて仕事ができているようです。 しかし、PTAでは細々とした作業が多く、期日までに各所に連絡し確認しなければならないことを複数抱えると処理しきれません。それがストレスとなって職場でミスを重ねたり、会議でもPTAのことを考えてぼんやりしたりするようになりました。 このような状態が続き、Gさんをフォローしていた上司からも注意されるようになり、ショックを受けているということでした。 以前からGさんは、自分がどこか他の人と違い、やたらとミスが多いことを気にしていたようです。そして、ネットでいろいろと調べていくうちに「ADHD」にたどりつき、特に不注意優位型の特性は自分のことがそのまま書いてあると思ったそうです。 不注意優位型の特性は、成人になっても持続することが多く、失敗ばかりの自分に嫌悪感を抱いて抑うつ状態になることもあります。 Gさんは、抑うつ状態になっているような印象はありませんでしたが、きちんと診断を受けてはっきりさせたいと筆者のもとに相談に訪れたこともあり、発達障害の専門医を紹介しました。 医療機関を受診後、不注意優位型のグレーゾーンだったということですが、不注意の特性を和らげる薬(コンサータ)を処方され、それがよく効いており、受診して良かったと話していました。Gさんのように発達障害のグレーゾーンであっても、状況次第では薬が処方されます。