「言うべきか言わざるべきか」今も娘に隠す“正体”──髭男爵・山田ルイ53世の葛藤
子に職業を隠す人は3.3%
いったい、世の中には、筆者と同じ境遇の人間……わが子への「隠し事」で苦慮する親がどれくらい存在するのか。 今回、Yahoo!ニュース オリジナル 特集でアンケートを実施した。
結果を眺めてみると、「子供から自分の仕事について聞かれ、答えをためらったことがある」人は22.4%に上るものの、「職業を隠している」となると3.3%に激減。すなわち、ためらった親たちの約8割は、最終的に真実を伝える道を選んでいることになる。 ちなみに、筆者のお仲間、「職業を偽っている」は1.5%。2000人中の30人……これを多いと取るか少ないと取るかは人それぞれだが、映画『300(スリーハンドレッド)』のスパルタ軍、あるいは、赤穂四十七士さながらの精鋭、決死隊には違いない。 着目すべきは、「ためらう」「隠す」「偽る」と決断に濃淡はあれど、動機の部分は皆似通っているということ。 「収入があまり多くないから」「給料を聞かれて困った」という金銭面の話や、「夜の仕事をしているため、うまく伝えられない」「パチンコ業なので、説明をためらった」「社用車の運転手をしているが、やり始めた当初は恥ずかしくて人に言えなかった。子供にも隠していた」など、業務の内容に誇りが持てず、引け目を感じているといった回答が目立った。 ……実にもの悲しい。 それでもなお、「わが子にうそをつく」というのは、人聞きが悪い。 もちろん、筆者とて平気なわけではなく、こんなことしていて大丈夫かなという不安や罪悪感を常に抱えている。 一般的に、子育てにおける「隠し事」は、子供にどんな影響を与えるのだろうか。
彼女は、“子どものこころ専門医”でもある。 「子供は無意識に自分にとって大切な人のある部分を取り入れて、自分の一部にするんです。“同一化”と言ったりしますが、山田さんご自身、良いところも嫌なところも含め、『俺、親に似てるな……』って感じたことありませんか? 自分が子供にとっての、“参照枠”になりうるというのはポイントだと思います。もし子供に『正直であってほしい』『うそをつかないでほしい』と望むのなら……」 いや、おっしゃる通り。 穏やか、かつ、的確なプロの語り口に、筆者の“おとなのこころ”も大いに揺さぶられた。 ただ一方で、「中2の夏から不登校」「そのまま20歳手前まで6年間ひきこもり」「一発屋」「人付き合いに疎く、社交がゼロ」等々、過去・現在を問わず、見習ってほしくない“点”だらけで、人生ダルメシアン状態の筆者としては、“同一化”とは身の毛もよだつ話。 むしろ、(もっと隠さなければ……)と天岩戸にでも閉じこもりたくなってしまう。 娘たちが、シルクハットをかぶって、「ルネッサーンス!」などと叫び出すくらいなら、いっそのことうそつきに育ったほうがマシ……と思わぬでもない。 それに、不安材料はほかにも。先述のアンケート調査では、「子供は外でなんでも話してしまうので、話されたくない内容を聞かれたときは困る」「今の職業について子供たち同士で話題になって、いじめとかにつながってほしくない」といった声が少なくなかった。 筆者が危惧しているのも、まさにそれ。 芸能界における父のヒエラルキーなど知る由もない長女が、「パパ、おわらいげいにんなんだよー!」と学校で吹聴したが最後、「なんて名前ー?」「チョコプラ? ぺこぱ?」「『有吉の壁』に出てる!?」と質問攻めにあうだろう。 「ひげだんしゃく!」と胸を張る娘に、「だれそれ? しらなーい!」の大合唱……想像するだけで、涙があふれそうになる。