50代女性が振り返る、勢いで購入したマンションで、まさか住民に悩まされるとは
◆ちょっとしたリフォームのたびに 学生の頃とは違い、あからさまに絶交するなど、嫌悪感をあらわにすることができないのが、ご近所さんとのおつきあいを断つ時の悩み。なぜなら、その後もマンションの管理組合の総会などで、必ず顔を合わせなければならないからだ。 また、少ない戸数のマンションで、あることないことを別の住人に吹き込まれては、自分自身の居場所がなくなってしまう。 だが、それらの点を考慮に入れたうえでなお、私はもう一人の女性とも縁を切った。その人はとにかく、室内のちょっとしたリフォームが大好き。つくりつけの家具を設置するたび、なにかと口実をもうけ、私を家に招くのである。 その時にさりげなく、「ここをリフォームしたのよ~」とか「これ安かったのよ~。ウン十万しかしなかったの」と、実際には決して安くない金額を聞かされる。そのたびに私は大げさに驚き、褒めなければならない。 それだけならまだいい。リフォームなんて数年に一度のことだからだ。「お雛さまを飾ったから見に来て」「ブランドものの鞄を買ったんだけど、どうかな?」。なにか新しいものを買うたび、お褒めする役をおおせつかる。 もちろん相手は口に出して「褒めてほしい」とは言わない。だけど流れを考えれば、褒めてくれと言っているに等しい。かくして私はテレビショッピングに出てくるサクラのように、「ホォ~」とか「ヘ~」とか「スゴ~イ」とか、合いの手を入れなければならないのである。
いちいちメールで夕食の献立を伝えてくるのにも辟易した。彼女の自慢は高い食材を使ったサラダや、揚げ物だ。これも料理下手な私は、「すごいねえ」「おいしそう」と返信するはめになる。 確かに料理上手な部分は尊敬に値するし、羨ましいとも思う。だがリフォームやショッピングに関しては、正直なところ「この人って買い物依存症じゃないかしら?」という感想しかない。お金を使って自分の欲望を満たそうとする人に、私は憧れを感じない。というより少々上から目線になるが、気の毒に思っているくらいなのである。 だが、ある時気がついた。彼女が私を家に招くのは、私が彼女の望む反応をしているからではないか。メールが続いてしまうのも、私のこの反応に問題があるのではないか、と。 そこで、夕飯のメニューのお知らせメールが届いても、極めて簡略的な返信をすることにした。「あ、そうなんだ。ごめん、今忙しいからまたメールするね」などと。そんなことが数回続いただろうか。パタリと彼女からのメールが途絶えた。やはり私は彼女にとって、「アッシー君」「メッシー君」ならぬ、「合いの手さん」だったということだろう。 その数ヵ月後、たまたま遭遇した同じマンションの別の住人が、初めて彼女にランチに誘われたと喜んでいた。ハハ~ン、次のターゲットを見つけたのだなと私はピンときたが、それは口には出さずにおいた。マンションの住人同士、悪口はご法度なのである。
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