特集「天皇皇后両陛下イギリス訪問」を振り返って~英語“初”スピーチで“笑い”も 留学中の“3枚の写真”秘話 令和流の“未来志向”とは【皇室 a Moment】
――この写真からも喜びが伝わってきますね。陛下は40年前に留学されていた時も、同じように部屋の窓から顔を出されていましたね。
2年間を過ごした部屋、勉強した部屋に皇后さまを案内して、2人で窓から顔を出されて、本当にうれしかっただろうと思います。
■“アドリブ”を交え…スピーチにのぞく天皇陛下とチャールズ国王の40年来の親交
今回は、6月22日から29日にかけて行われた、天皇皇后両陛下のイギリス公式訪問を振り返ります。
24日は、テムズ川にある世界最大級の防潮施設「テムズバリア」を見学し、日英友好団体のレセプションに臨まれました。翌25日は歓迎式典、馬車パレードに臨み、無名戦士の墓に花を供え、夜はチャールズ国王とカミラ王妃主催の晩さん会に出席されました。26日は、バイオメディカルの研究所や、王立音楽大学を訪ね、金融街「シティ」で行われた晩さん会へ。27日は国王・王妃にお別れを告げた後、子どものための博物館を訪問。さらに陛下ひとりでエリザベス女王とフィリップ殿下が眠るウィンザー城の墓に花を供え、最終日はオックスフォードを訪ねられました。 ――連日、さまざまな行事に参加されたんですね。 そうですね。ハイライトは、やはりこちらの場面だと思います。
25日は歓迎式典、馬車パレード、そして晩さん会が行われました。騎馬隊に守られた華やかなパレードのなか、同じ馬車に乗って国王と陛下が話をされる表情から、40年来の交友が感じられました。 ――会話が弾んでいる様子が分かりますし、和やかな雰囲気ですね。 夜の晩さん会のスピーチに、国王と陛下の関係の深さが特に表れていたと思います。
(チャールズ国王のスピーチより) 「日英両国のパートナーシップの核心にあるのは、緊密な友情です。これは、国際ルールとグローバルな制度の重要性に対する相互理解に基づくもので、最も暗い年月をも含んだ歴史の教訓の上に築かれてきました」 (天皇陛下の答辞より) 「日英両国には、友好関係が損なわれた悲しむべき時期がありましたが、苦難のときを経た後に、私の祖父や父が女王陛下にお招きいただき天皇としてこの地を訪れた際の想いがいかばかりであったかと感慨深く思います」 スピーチでは、共に先の大戦について、国王は「最も暗い年月」、陛下は「悲しむべき時期」と振り返り、互いの文化へのリスペクトと、友好親善への思いが強くにじんでいました。 このスピーチの交換を聞いていて、日本語の「オカエリナサイ」に始まった国王のスピーチと、陛下がお言葉に加えられたアドリブの部分は、1986年、皇太子時代の国王が日本の国会で行ったスピーチを強く意識していたように思いました。