指導者の言いなりサッカーに未来はあるのか?「ミスしたから交代」なんて言語道断。育成年代において重要な子供との向き合い方
ミスはしてもいい。でもミスをしてもいいよと…
実際にサッカーの試合とは、扱いにくい球形のボールを、決して完全に平らではないグラウンドで、日常的に使用するわけではない足や頭を用いてプレーしながら、刻々と状況が変わり続ける中で、瞬時に変化に対応して、最適な選択肢を見つけ出し、適切なタイミングで決断から実践することが求められる。このように書き出し、想像するだけで難しい。人間が状況における対応力を身につけるためには経験がなくてはならず、それも認知・判断・決断・実践のサイクルを自分たちで行うことが許される環境における経験則が必要不可欠となる。 試合ともなるとどんな年代でも、どんなカテゴリーでも、どんなレベルでも、誰だって勝ちたい。本気で、全力で試合に臨んで戦うのは自然なことだろう。だからチャンスを逸したり、失点につながるようなミスが起きると思わず怒りたくなる気持ちだってわかる。特に野心的な親や指導者は、まるで子どもたちは何もかもをできるようにならなければならないと思い込んでいる人が多い。できないことがちょっとでもあると、まるですべてがダメであるかのような反応を見せたりする。でも忘れないでほしい。ミスをしようと思ってプレーしている選手なんて一人もいないということを。 一方でミスをそのままにしておいてもいいということではない。同じようなミスを繰り返しているのを黙って見てなきゃいけないわけでもない。SCフライブルクの元U-12監督ヨアヒム・エブレはこんなふうに話してくれたことがある。 「ミス“は”してもいい。でもミス“を”してもいいよと僕らが子どもたちに言うのはまた違うんだ。ミスの頻度が少なくなっていくように取り組むことが大切だ。ミスをしてしまったことはもう事実。でも次に同じようなことがあったときにそのボタンを押さないようにしなければならない。これが非常に重要なプロセスだ。修正しようと取り組んでもすぐできるわけじゃない。でもそうやろうとすることがとても大事。長い長い道のりとなることをしっかりと認識して子どもたちと向き合うことがとても大切なんだ」