新築物件の価格高騰で…「ワケあり物件」購入者が約2倍に 違反建築で1200万円が半額600万 “孤独死物件”でも需要あり
違反建築で1200万円が半額以下!
次にハッピープランニング株式会社の大熊昭さんと共に向かったのは、千葉県松戸市の閑静な住宅街。最寄り駅から車で10分の場所にある物件は、築40年の2階建ての3DKの一軒家だ。 都心まで車で約1時間とアクセスも良く、不動産として高い価値があってもおかしくない条件が揃っている。しかしそんな物件も格安になる複雑な“ワケ”があるという。 まずは通常であれば相場はどれぐらいなのか聞いてみた。 大熊昭さん: (通常は)1,000万円~1,200万円くらいの価格になるかなと思ってます。 ――しかし、その価格は? 大熊昭さん: 600万円といった金額になりますね。 なんと相場の半額ほどで販売予定だという。事情を聞いたところ、人が亡くなるなどした事故物件ではないそうだ。では、なぜこんなにも格安なのか? 大熊さんに案内され、物件の中を見せてもらうとーーー。 スタッフ:うわ、すごい。 大熊昭さん: まだお荷物が残っているような状況なんですよね。 物件に入ってみると、玄関にはヘルメットや未使用のホウキ、バイク用のオイルなどが無造作に放置されたままだ。さらに部屋の奥に進むと…。 大熊昭さん: こちらで生活してた感が強いですね。 部屋には干されたままの洗濯物や使われたコップなどがあり、つい先日まで人が住んでいたような状況だ。 さらにダイニングキッチンには大量のゴミが残されたままで、部屋の中は荒れ気味といえる。 ――俗に言うゴミ屋敷? 大熊昭さん: お片付けができていない形の半分ゴミ屋敷みたいな形ですかね。 実はこの物件には70代の男性が一人で暮らしていたが、病院で亡くなってしまったという。親族もいなかったため、家の中は手つかずのワケあり物件になってしまったのだ。 格安な理由はゴミや遺品のせいかと思い、話を進めると大熊さんから意外な答えが返ってきた。 ――では、安さのワケはこのゴミ? 大熊昭さん: (ワケは)ゴミ屋敷ではなくてですね。ゴミは弊社の方で片付けさせていただきます。 なんとワケあり物件が格安な理由は、ゴミのせいではないという。詳しく聞くと実際の理由は予想外の事情だった。 大熊昭さん: ここの敷地に対して、ここの建物は半分以下くらいで建てなければいけないんですけど、こう見ていただくと、いっぱいいっぱいに建っているような形ですね。 実はこの物件がある松戸市の住宅街では、都市計画で土地の面積のうち、建物が占める部分は40%以内と定められているそうだ。しかしこの物件はその条件が守られていなかった。 大熊昭さん: ここでいうと80%以上の比率で建ってますので、それが違反建築物といった形になります。 こうした違反建築物は、購入に住宅ローンが使えず、現金で買わなければいけない制限がある。しかし現金となると、相場の1000万円以上の設定では買うという人は現れにくい。そのため、通常より格安のワケあり物件として販売しているわけだ。 また、ローンを組めないことに加え、別の事情もあるという。 大熊昭さん: 再建築するにしても、土地が小さいので本当に小さな間取りの一戸建てしか建ちませんので、賃貸に出したりとか自分で住んだりとかそういった形が多いです。 この物件をもし建て替えた場合、都市計画の条件に則ると現在と同じ大きさの建物は建てることができない。 使い方が限られるという点も、販売価格が安くなっている理由だ。