“弱小”モンゴルから森保Jが奪った歴史的14得点の価値
「一人じゃ点数は決められないので、チームメイトに感謝しなきゃいけないですね。今日はいい時間帯に点が取れて、その後も緩めずに前からいけたところが大きかった。いままではどちらかと言うと、時間を上手く使うとか、そういうプレーが多かったんですけど」 何とか一矢を報いるゴールを奪おうと最後まで必死に、サッカーに対して真摯な姿勢で臨んできたモンゴルの闘志に対するリスペクトの思いも込めたゴールラッシュ。歴史的なスコアの背景にあった原動力を、モンゴルを率いるラスティスラブ・ボジク監督はピッチサイドでひしひしと感じていた。 「私たちはあきらめなかったが、日本も非常にモチベーションが高かった。それは一人ひとりがワールドカップへ向けて、ポジションを得たいという意欲があったからだと思う」 セルビアリーグで16ゴールをあげ、得点王も射程距離にすえる好調ぶりとともに代表に招集され、後半アディショナルタイム1分に約1年5ヵ月ぶりとなるゴールを決めたFW浅野拓磨(パルチザン・ベオグラード)を含めて、フクダ電子アリーナのピッチに立った16人全員がモンゴルと全力でぶつかった先に待つアジア最終予選、そして来秋に迫ったカタールワールドカップを見すえていた。 もっと言えば3-0で快勝した25日の韓国代表戦を含めて、森保一監督はフィールドプレーヤーに関しては招集した20人全員をピッチに送り出している。国内組だけで8人を数えた初招集勢を含めて層が厚くなっただけでなく、24歳以下の東京五輪世代も虎視眈々と参戦を狙っている。 「チャンスをモノにしたら、簡単にはポジションを分け与えてはいけない。その意味では全員にとって競争になるし、これから4月、5月のJリーグであるとか、海外各国の自チームでのパフォーマンスにつながってくる。そこで高い意識とパフォーマンスを維持して、次の招集に備えるのが大事になる」 チーム全員の思いを吉田が代弁した。次の活動となる6月にはミャンマー、タジキスタン、キルギス各代表との2次予選の残り3試合が再び日本国内で開催される予定だ。3月シリーズで火ぶたが切られた、チーム力を底上げする効果を伴う熾烈な競争は6月シリーズと東京五輪を経て9月に幕を開ける予定のアジア最終予選へつながっていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)