“弱小”モンゴルから森保Jが奪った歴史的14得点の価値
特に稲垣は鎌田との交代でピッチに送り出されてからわずか5分後に、大迫が後方へ落としたボールに右足を一閃。ペナルティーエリアに入ったあたりから強烈な一撃を叩き込むと、最後は伊東からの短いパスに左足を合わせて、同じような位置からゴール右上のネットを揺らした。 当初招集されていたMF原川力(セレッソ大阪)の故障辞退に伴い、29歳にして念願の代表初招集を射止めた稲垣は、直近のJ1リーグ戦でも豊富な運動量で開幕6連勝中の名古屋の攻守を支え、ミドルレンジから強烈なシュートを決めていた。名古屋での好調ぶりをそのまま代表に持ち込んだ結果に「僕自身は、代表で海外組、国内組と分けるのは好きじゃない」とこう続けた。 「それぞれがストロングポイントを持って代表に入ってきているので。僕を含めて初招集の選手が多くて、最初は遠慮していた部分というか、硬さが少しありましたけど、日がたつにつれていろいろな会話をするようになったなかで、誰が出てもいいパフォーマンスを出せる準備はできていました」 そして、吉田が言う「取るべき選手」が1トップで先発した大迫勇也となる。所属するヴェルダー・ブレーメンでは2列目が主戦場となり、なおかつ今シーズンの先発はわずか6回と思うように出場機会を得られず、ノーゴールのまま今回の3月シリーズに招集されていた。 「代表とクラブは違うので、個人的には頭のなかで切り替えていました。クラブで難しい時期はありましたけど、個人的には常にトレーニングを重ねるなかでコンディションを維持し、さらに上げていくことを考えるようにしていました。代表ではゴールに近い、自分がやり慣れたポジションでもあるので、あまり考えることなくプレーできている感じですかね」 23分に決めた自身の約1年半ぶりの代表通算16ゴール目となる2点目を含めて、前半だけで5ゴールを奪って迎えたハーフタイム。自身が抱く思いと周囲のそれとが一致していると大迫は感じていた。 「後半も45分間あるわけであって(このまま終わらせるのは)もったいない、と。やるからには前からしっかりと、もう一回点を取りにいこうと全員で話していたので」 10分にチームとしての後半最初のゴールを奪うと、アディショナルタイム2分にはチームの13点目をゲット。フル代表戦では初めて、個人的には鹿島アントラーズ時代の2013年8月に行われた、サンパウロ(ブラジル)とのスルガ銀行チャンピオンシップ以来となる、プロ2度目のハットトリック達成に「やっぱり前線の選手として、点を取りたいので」と笑顔を浮かべた。