本土最大の米空軍基地は東京に。衆院選東京25区福生市の争点は?
北朝鮮のミサイル問題には、恐怖を感じている。「対話の難しさはわかるが、武力には武力で返ってくる可能性もあるのでは」と平和的な解決を望むが、「日本のどこにも安全に住める場所はないのも確か。死ぬときは死にます。家族とは、何かあれば息子の小学校に避難しようと決めています」とも。基地の人々とともに生きる日々の中、有事の際の行動と覚悟も定める雫さんに、基地の街に住む人の複雑な思いを垣間見た気がした。
横田基地反対派と市政世論調査
横田基地第5ゲートから西に徒歩8分ほどのところにある福生公園では、横田基地に反対する「横田基地の撤去を求める西多摩の会」が、抗議のすわりこみを行っていた。 小雨が降るなか、参加者は傘をさしながらパイプ椅子に着席している。ざっと見たところ、60代以上の高齢者が過半数を占めるようだ。会によると、参加者は60人強。 代表の高橋美枝子さん(75)は、横田基地に土地を提供する羽村市に住む。「戦争をしない憲法を持つ日本に、なぜ戦争のための米軍基地があるのか。戦後も米国は他国で戦争をしてきた。黙っていたら私も加害者になる」。そんな思いから反対運動に取り組む。すわりこみは2009年4月に始めて以来、毎月第3日曜日に行っているという。今回で103回目だそうだ。
「東京は、沖縄に比べて基地が選挙の争点になりにくい」と高橋さん。「沖縄は戦後72年の中で、県民が基地に対して思いを持っていて関心も高いのですが、東京は、政治・経済の中心地であるためほかの話題が多く、なかなか基地問題がニュースに取り上げられにくいのです」。 福生市では、横田基地をおおむね肯定する市民が多数を占める。市が2015年に行なった市政世論調査では、横田基地について「あってもやむを得ない」との回答が78.0%、「あって当然」が7.2%だった。高橋さんは、「候補者には、基地問題を訴えても勝てないという思いがあるのではないでしょうか」と指摘する。 ただし、「あってもやむを得ない」と答えた人のうちの約76%は、「騒音対策や生活環境整備に力を入れるべきだ」と、市民生活への配慮も求めている。別の設問では、将来の横田基地について「日本に返還して福生市など関係市町のまちづくりにも使えるようにするべきだ」と回答した人が約30%あり、「米軍と自衛隊とで共同使用するべきだ」の約41%についで多かった。「民間空港にするべきだ」も約16%あった点も踏まえると、市民はもろ手をあげて基地を肯定しているわけでもなさそうだ。