遺族年金の男女格差・年齢格差が是正へ。「5年間の有期給付」一律で適用になるか
遺族年金はいくら支給されるのか
遺族年金の支給額も、遺族基礎年金と遺族厚生年金で異なります。 ●遺族基礎年金の支給額 ・子のある配偶者が受け取るとき:年額81万6000円 +(子の加算額※) ・子が受け取るとき:年額81万6000円 +(2人目以降の子の加算額※) 1人目および2人目の子の加算額:各23万4800円 3人目以降の子の加算額:各7万8300円 ●遺族厚生年金の支給額 遺族基礎年金と違い、遺族厚生年金は亡くなった方の厚生年金の加入期間や報酬の額をもとに計算するため、個人により異なります。 収入のおよそ4分の3が目安となるでしょう。 遺族厚生年金において、現行の制度では男女における違いがあります。
遺族厚生年金の男女差とは
現行制度において、遺族厚生年金では男女や年齢で受給できる要件が異なります。 例えば子のない30歳未満の妻が受給する場合、遺族年金の受給期間は5年間のみです。妻が30歳以上であれば、受給期間は無期限になります。 しかし夫が受給する立場である場合、55歳以上でなければ支給されません。また受給開始は60歳からとなり、待機期間が生じます(遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間も遺族厚生年金を受給できる)。 これは制度の発足当初、「夫は就労して生計を立てることが可能である」という考えが主流だったためです。 しかし、時代とともに共働き世帯が増えるなど、夫婦の形は変化してきました。 その中で「遺族年金における男女差」を見直す議論が進んでいます。 まず、子のない配偶者に支給される遺族厚生年金について、一律で5年間の有期給付とすることを検討します。これにより、夫のみ「55歳以上」とされていた年齢条件が解消される形です。 また、現行では妻が30歳未満に死別した場合は5年間の有期給付となっていますが、対象年齢を30歳以上へと引上げるよう進めるとしています。 これにあたって適切な配慮措置を講じるとしていることから、段階的な引上げが行われると想定されます。 審議会の資料内においても、「現に存在する男女の就労環境の違いを考慮するとともに、現行制度を前提に生活設計している者に配慮する観点から、相当程度の時間をかけて段階的に施行することとする」と言及されました。 これまで終身で受け取れていたものが有期給付に改正されるとなれば、不利と捉えられるかもしれません。 厚生労働者は、すでに遺族厚生年金を受け取っている世帯は現行の制度を維持するとし、また制度改正において今後対象となる世帯への配慮措置も行うとしています。