青木さんの名字のルーツは、色? 地名? 【名字博士が解説】
青木(あおき)
「青木」は地名由来の名字です。「青木」という地名は全国に数多くあり、各地で地名を名乗った「青木」一族が誕生しました。 最も有名なのは武蔵国入間郡青木村(現在の埼玉県飯能市青木)をルーツとする青木氏で、武家の青木氏はこの末裔と伝えている家が多いようです。 さて、「青木」には全く違う由来を伝えている一族もあります。その代表が神奈川県真鶴の「青木」さんです。打倒平家を目指して挙兵した源頼朝は、石橋山合戦で平家方に敗れ、真鶴山中の「しとどの窟」に身を隠しました。 しかし、そのままでは敵に見つかってしまいます。そこで住民がアオキの木を入り口に置いてカモフラージュしたといいます。アオキは葉だけでなく茎まで緑色をした木で、これで頼朝一行の隠れている岩屋を塞ぎ、平家方の追捕を逃れたと伝えられています。 助かった頼朝は、住民に「青木」という名字を与えました。今でも真鶴町で一番多い名字は「青木」さんとなっています。 現在は、関東から中国地方にかけて広く分布し、とくに北関東に多くなっています。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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