めでたいはずの「出産」。誰かの幸せの裏には、誰からの不幸が。いくら偉くても、我が子には生後1カ月まで会えなかった⁉【NHK大河『光る君へ』#36】
平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第36話が9月22日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。 【画像】NHK大河『光る君へ』#36
道長ファミリーから頼られるまひろ。彰子がもっとも信頼する指南役に
本放送では、まひろ(吉高由里子)が彰子(見上愛)からも、道長(柄本佑)と倫子(黒木華)からも頼りにされ、感謝される様子が描かれていました。彰子については、他の女房にはほとんど目をくれず、まひろにだけ心を寄せています。 また、道長と倫子は彰子が心を開いたのも、一条天皇(塩野瑛久)と彰子の心が交わったのもまひろのおかげだと考えています。 倫子が彰子に向ける眼差しは以前と変わらずあたたかなものであり、お腹に子がいる娘を心配し、母親として支えていました。道長は皇子の誕生によってどこかほっとした表情が印象的でした。 敦成親王の誕生後、まひろと道長が月を眺めながら寄り添うシーンにキュンとなった視聴者は多いはずです。 まひろは「中宮様という月の光に 皇子様という新しい光が加わった盃は 今宵の望月のすばらしさ そのままに千代もめぐり続けるでありましょう」と、道長に話します。皇子の誕生の喜び、そして栄華をきわめる道長を祝うまひろの思いが込められています。また、この台詞には、道長のかの有名な望月の歌を思い出した人もいるのではないでしょうか。
【史実解説】彰子は道長邸で出産。一条天皇が赤ん坊と初対面したのは誕生から1カ月後
本章の最後に、彰子の出産について史実に少しふれておきます。平安時代、出産はケガレと考えられたため赤ん坊を宮中で産むことはできず、彰子は道長邸で出産しています。このとき、御座所の設備は邪気を払うため白一色に模様替えが行われました。 道長と倫子は彰子の出産を近くで支えていました。倫子は彰子を看護し、道長は娘と生まれてくる赤ん坊のために僧侶12人を自宅に呼び、御読経を24時間行いました。本放送にも、祈祷中は女房に邪気払いの米がまかれていましたが、実際に大量の米がまかれたそうです。 なお、一条天皇が敦成親王(あつひらてんのう)と初対面したのは、誕生から1カ月後でした。我が子に会うまでにこれほどの時間を要したのは出産をケガレとする見方が関係しています。