お餅を喉に詰まらせた!誤嚥による窒息事故は「いかに早く助けるか」が重要。5分で心停止も。家族ができる応急手当と予防のコツ
◆骨折も恐れずに背中を叩く では、いざ誤嚥をしてしまったらどうすればよいのでしょう。実は、食べ物を喉に詰まらせた人は、「苦しい!」とわかりやすい反応をするわけではありません。うなだれるケースが多く、居眠りしているのかと間違えることもあるので、家族は注意深く見定める必要があります。 明らかに詰まっていたら、まず咳をさせてください。この時、かえってむせることになるので水は飲ませないこと。反応がなければすぐに119番を。反応がある場合は背部叩打(はいぶこうだ)法で、背中を強く叩きます。高齢者は骨折するリスクもありますが、命には代えられませんので手加減せずに強く叩いてください。 「腹部突き上げ法」も紹介しますが、これはかなり力がないと難しいため、周囲に筋力のある人がいる場合に行います。 食べ物が詰まった時の応急処置 「背部叩打法」いすに座らせた状態で、片手で患者のあごをしっかり支え、反対の手で肩甲骨の間を強く5回ほど叩く 「腹部突き上げ法」患者を立たせた状態で上腹部(へそとみぞおちの中間)をこぶしで斜め上方に強く圧迫 ※筋力のある人が周囲にいる場合のみ
「掃除機を使ってもよいか」と聞かれることもありますが、最終手段としては使えます。口の中にノズルを入れてからスイッチを。それでも出てこない場合は躊躇せずに救急車を呼んでください。 救急車の到着まで平均10分。窒息したら5分で心停止するため、その間に心臓マッサージを行います。119番通報をすると、通信指令員が何をすればいいか指示してくれるので、落ち着いて対応しましょう。 運よく詰まったものが出てきた場合でも、数分の窒息が脳や心肺にダメージを与えている可能性も。かならず病院を受診し、検査を受けてください。放っておいたら誤嚥性肺炎になっていた、というケースもあります。 自宅での窒息に関しては、医師にできることは多くありません。「誰が助けるか」よりも「いかに早く助けるか」が重要。瞬時の判断が生死を分けることがあるので、速やかに対応しましょう。 (構成=島田ゆかり)
五十嵐豊
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