お餅を喉に詰まらせた!誤嚥による窒息事故は「いかに早く助けるか」が重要。5分で心停止も。家族ができる応急手当と予防のコツ
毎年お正月になると必ず報じられるのは、高齢者が餅を詰まらせることによって起こる窒息事故。数分で命を落とすケースもあるため、予防はもちろん、家族にできる応急手当の方法を知っておきましょう(構成=島田ゆかり イラスト=鈴木亮) どれくらい飲み込めている?「嚥下チェックリスト」 * * * * * * * ◆板チョコひとかけらの大きさと覚えて さっきまで元気だったのに、目の前であっという間に亡くなってしまう。あるいは助かっても脳に障害が残ってしまう。家族にとってもショックが大きいのが誤嚥による窒息事故です。 しかし誤嚥は防ぐことができますので、人生の最期に苦しい思いをしないためにも予防のコツを知っておきましょう。 誤嚥が起こる原因は、加齢によって喉の筋力や神経反射が弱くなり、食べ物が食道に送られず気管に入ってしまうこと。窒息は空気の通り道が塞がる状態で、およそ5分で心停止となります。また、気管に食べ物が入ると誤嚥性肺炎を引き起こし、こちらも命にかかわるリスクが。 まず大切なのは、食べ方の工夫です。食事の際はむせないように喉越しのよさを考えて、とろみをつけたりピューレ状にする。よく噛み、水分を摂りながら食べることで誤嚥を防止できます。 気をつけたい食材は、餅やだんごなど粘り気のあるもの、食べる頻度の高いお米やパン、こんにゃくやタコなど噛みにくい食材、肉や魚でも筋があるようなもの。根菜類などの硬い野菜も要注意です。 また、非日常の場面での食事、たとえば孫の結婚式で出たお肉で窒息してしまうというケースも。食べ慣れない食材も誤嚥リスクがあると心得ましょう。
食材は調理の際に一口を小さく切ることが大切で、目安は板チョコのひとかけら。食べる時には少量ずつ口に入れ、よく噛んでゆっくり食べること。 また、姿勢も大切です。介護ベッドで食事をする際は背中にクッションを入れるなどして、体を90度くらいまで起こしてあげましょう。斜め上を向いた状態で食事をするとむせやすくなります。 最近は嚥下が困難な人向けの介護食もありますので、それらを活用するのもひとつの方法です。 上で紹介した「簡単嚥下チェック」で、ご自身や家族の嚥下機能に問題があれば、次に紹介する「嚥下パターン訓練」や食事の見直しをしましょう。 また、口の中を清潔に保つことも重要です。口内の細菌が多いと誤嚥性肺炎を引き起こす原因に。また、入れ歯が合わない、歯が抜けたままといった状態だと咀嚼力が弱く、うまく飲み込めなくなります。 食事前の歯磨きは抗菌作用のある唾液を出やすくするため、時間に余裕があればそうした工夫も有効です。
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