各地で事故多発の掘削機「シールドマシン」の稼働実態とは? 広島市の住宅街陥没に続き、町田市でも地下水湧出&気泡出現!?
さらに、11月13日に丹羽俊介JR東海社長が記者会見で「町田の現場に空洞はない」と断言。町田の会の奥村さんは「JR東海は確かに、私の目の前でMさん宅周辺を電波探査機を使って調査しました。 でもあの機械って地下1.5mまでしか探査できないんですよ」と驚きを隠せない。JR東海はトンネル掘削をしている地下45mまでの調査をしていないのに、「空洞はない」と言い切ったのだ。 筆者は安藤ハザマに「工事再開前に、まずは住民説明会を開催し理解を得るのが先では」と尋ねたが、「回答は差し控えます」との返事を得ただけだった。 ■小口径でも起きた広島の陥没事故 最後に、今年9月26日に広島市下水道局の雨水管の建設工事(地下30m)で発生した事故を取り上げたい。液状化現象を伴う30m×40mという広範囲での陥没事故だ。 筆者は翌27日に現地を訪問。現場周辺には規制線が張られ、陥没現場の交差点周辺の12棟の家屋は一斉に傾き、約30世帯が避難生活を余儀なくされていた。 交差点に近い場所に住む男性は「俺の家は傾き、天井も割れた。いきなりここで住めなくなった。もう何十年も住み慣れたここを離れ、いったいどこに行けば......」と途方に暮れていた。 関係者が驚いたのは、事故を起こしたマシンが直径6mしかないのにこれだけの事故を引き起こしたことだ。 現時点でひとつだけわかっているのは、通常はありえないが、マシンに大量の泥水が流入したこと。これによりマシン周辺の地盤が緩み、それが陥没につながったと推測される。マシンの接合部の不具合という可能性もあり、小口径であれ今後も同様の事故が起きる可能性は否定できない。 陥没直後に市は被災住民の前で説明会を開催したが、住民からは「これ、人災ですよね!」との非難が飛び交った。 広島市は11月から原因究明の協議を開始しているが、その過程で事前調査などの不備が明らかになれば、まごう方なき人災だ。これ以上、人為的なシールドマシン事故が起きないことを祈る。 取材・文/樫田秀樹