各地で事故多発の掘削機「シールドマシン」の稼働実態とは? 広島市の住宅街陥没に続き、町田市でも地下水湧出&気泡出現!?
マシンは、都市部地下での上下水道、ガス管、電力工事などに多用されており、市民生活への貢献度は高い。ところが、そうした事業で使われるマシンはほとんどが直径5m以下だったのだが、その直径が10mを超えるようになったここ数年で事故が増えてきたのだ。 例えば、2018年。ネクスコ東日本は東京外かく環状道路(以下、外環)の建設のため、東京都世田谷区の地下を掘削していた。使われていたマシンの直径は16m。 マシンからの起泡剤の気体成分が地上に漏出し、1級河川の野川でジェットバス状の気泡が湧いた。この気泡は以降何度も発生。20年5月に市民団体「外環ネット」が気泡の気体をペットボトルに採取して酸素濃度を測定すると、人が一呼吸すれば数分で致死するレベルの6%しかなかった(通常は21%程度)。 その後、同じマシンが調布市で稼働し続け、同年10月18日に大きな陥没事故を起こしたのは広く知られている。 今年8月にも品川区の目黒川で気泡が湧いた。21年10月に品川区のリニアの立て坑「北品川非常口」から発進した直径14mのマシンが、目黒川のほぼ直下を掘削しているときのことだった。 住民がJR東海の工事事務所に問い合わせたところ、この気泡の酸素濃度は世田谷の件よりさらに低い4%だった。 そして今回の町田市では、民家で初めて気泡が確認された。町田の会の桜井朋広さんは、「もし酸欠空気が井戸に湧いたり、古い住宅の亀裂から家屋内に侵入したら危険です」と強い危惧感を示している。 実際、町田の会はペットボトルに気泡を採取し、酸素濃度を測定。結果、これまでの事例で最低の1%という極めて危険な値を計測した。 JR東海と安藤ハザマは町田の会の求めに応じ、Mさん宅を訪ねて地下水だけを採取し、マシンの稼働を停止。2日後の24日に地下水と気泡の湧出も止まったため、湧出の原因はシールドマシンによる工事であると推定できる。 ■陥没事故なども全国で頻発中! 地下水や気泡が出るだけではない。大口径のシールドマシンによる事故は、今まさに全国各地で頻発している。 20年6月12日と30日、神奈川県横浜市港北区の幹線道路で、2回続けて陥没事故が発生した。