凱旋試合・未明の緊急搬送「肺がつぶれている」/星野陸也の欧→米ルート<前編>
ドバイでの安堵
中盤戦の浮沈を経て、星野はポイントレース上位をキープしてシーズン最終戦を迎えた。11月、アラブ首長国連邦での「DPワールド ツアー選手権 ドバイ」はランキング50位までのエリートフィールド。「感覚は優勝したカタールのときの状態に近いくらいに戻っていた」と感じつつ、PGAツアー出場権の獲得圏内にいて、追われる立場として気が抜けない。 「予選落ちがないし、最後の2試合はボーナスゲームみたいな感じで。優勝のポイントが500ptだったのが、いきなり1500pt、2000ptになる」。年間レースを最後まで盛り上げる仕組みとはいえ、最終戦優勝者のポイントが、自分がカタールで獲得した4倍なのだから、たまったものではない。 「なんだよ、それ!みたいな…。直前の(アブダビHSBC選手権)で優勝したポール・ワーリング(イングランド)は最終戦に進めるかどうかの瀬戸際から、いきなりPGAツアー進出を確定させた。だから、めちゃくちゃ緊張しました」 最終日は前半7番までに1イーグル3バーディ。安泰と思われたところ、上がり2ホールでダブルボギー、ボギー。ホールアウト後は、クラブハウスのレストランで他選手のフィニッシュを待った。ポイントレース16位、有資格者を除く9番目のポジションを確保し、PGAツアーへの扉を開いた。「キャディとずっとスマートフォンを見ていました。あぶねえ…最後、耐えた…と」 胸いっぱいに吸い込んだ息が、安堵の声と一緒に口から漏れた。 <後編へ>