「画面の見すぎで老ける」スマホ老け顔にご用心、二重あご・口臭の原因にも
さらに、スマホを操作しているときは視線が下向きになるため頭が前傾し、背中も丸まった前傾姿勢になる。姿勢が悪くなるだけでなく、唾液の分泌を促す顎下腺(がっかせん)や舌下腺が圧迫され唾液の量が減ることで、口臭の原因にもなるというのだ。 「また、口まわりの筋肉を動かさないことや、画面の操作に集中して過緊張状態が続くことでも、唾液の量は減ってきます。その結果、口内で悪玉菌が増殖し、口臭が発生してしまうのです。ですからスマホの使用中にふと口臭が気になる人は、老け顔が進んでいるサインかもしれません」 中城先生は、口臭治療に特化した診療を16年以上続ける中で、5~6年前から、診察時に吐いた息を測定しても口臭を示す数値が上がらないのに、「どうしても口臭が気になって仕方がない」と訴える患者さんが年々増えてきたと実感。 「よくよく話を聞いてみると、『スマホをいじっているときに臭う』と言うのです。それでスマホを操作しているときに吐いた息を密封してもらい口臭の数値がわかる機械で測定すると、確かに数値が上がっていたのです。中には普通の状態の3倍近い数値の人もいました」
無言、無表情が老け顔を生み出す
スマホによる老け顔を改善して若さを取り戻すには、表情筋を効率的に鍛えるのが一番の近道。 そのために中城先生が考案したのが、「アゲアゲ歯ブラシストレッチ」と名づけた歯ブラシ1本でお手軽にできるストレッチ法だ。毎食後の歯みがきの後に行うことで習慣化しやすく、1回約3分、4つのステップで完結できる。 「このストレッチを続けると表情筋が鍛えられるだけでなく、筋肉上にある美容に効果的なツボを口内から刺激することにより、肌のバリア機能である皮脂膜を再生させ、肌の潤いを回復させる効果もあります。実際、私の患者さんにも、このストレッチで老け顔や口臭の改善効果が得られています」 もうひとつ、簡単に取り入れられるのが、口の中で舌の位置を正しく保つこと。舌の位置なんて意識したことがない人がほとんどだろうが、舌の先端が上あごの前歯の付け根あたりから口蓋皺壁という、上あごの真ん中から横に広がるザラザラとしたしわに接しているのが、口を閉じているときの正しい舌の位置だ。 「これを意識するだけで舌の筋肉が鍛えられ、二重あごの改善も期待できますよ」 ただ、歯ブラシストレッチや舌の位置の改善で、老け顔と口臭の対策はできても、原因であるスマホとの付き合い方を見直さなければ、根本的な解決にはならない。 「私の病院で行った実験によると、スマホの連続使用で無言、無表情が続くことによって口臭を示す数値が出てくるのが、だいたい30分後くらいからです。そのくらいの時間が経過すると、口臭だけでなく表情筋にも負荷がかかってきます。 なので、30分たったら、いったんスマホを置き、唾液の分泌を促すために少しあごを上げる姿勢になったり、会話をして表情筋を動かしたりしてください。また、できれば片肘をテーブルにつき、そちら側の手でスマホを持ち、肘で支えるようにして使うと、前傾姿勢になるのを防ぐことができます」 まずは今日の寝る前の歯磨きから、歯ブラシを使ったストレッチを取り入れてみてはどうだろうか。