「梅毒」が大流行! 風俗・マッチングアプリが感染の一因か、今後も増加傾向が続く見込み
国立感染症研究所は、「2024年上半期に全国で報告された梅毒の感染者数は6772人」と発表しました。これは現在の方法で統計を取り始めてから、過去2番目の多さです。このニュースについて中路医師に伺いました。 【イラスト解説】「梅毒」の初期症状 女性・男性の症状の違い [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
国立感染症研究所が明らかにした内容とは?
編集部: 国立感染症研究所が明らかにした内容について教えてください。 中路先生: 2024年6月30日までに全国から報告された梅毒の感染者数は6772人でした。これは、過去最多の報告数であった2023年の7448人に次いで、上半期で2番目に多い感染者数となりました。都道府県別では、東京都が1723人、大阪府が889人、愛知県が386人の感染者数を記録しました。これらの自治体では去年の同時期と比べて10%ほど減少していますが、15の県では増加が確認されています。 梅毒の感染者は、2019~2020年には減少傾向となっていましたが、2021年に急増して7873人と当時の過去最高を記録しました。そして、2022年には初めて患者数が1万人を超え、2023年には1万4906人と、現在の方法による統計開始以降最も多い感染者数を更新し続けています。 梅毒の患者数が増える中、妊婦が梅毒に感染する件数も増加していると指摘されています。梅毒に感染した妊婦の統計は2019年から取られていますが、2019年は208人、2020年は185人、2021年は187人と、概ね200人前後で推移していました。しかし、2022年は267人、2023年は383人でと増加傾向にあり、それぞれ前年の1.4倍に増えている状況です。
梅毒が感染拡大している原因は?
編集部: 増加傾向にある梅毒ですが、その原因は何が考えられるのでしょうか? 中路先生: 梅毒が増加傾向になっている原因の1つとして考えられるのが、風俗営業を通じての感染です。国立感染症研究所は、2019年から調査項目に「直近6カ月以内の性風俗産業の従事歴および利用歴」という設問を追加しています。2024年7月17日に発表された数値を見ると、男性感染者で性風俗利用歴がある割合は40%、従事歴は2%となっており、女性感染者で性風俗従事歴ありの割合は34%、利用歴は3%でした。設問に対して「不明」「空欄」もケースもあるので、実際の比率はより高くなる可能性があります。ただ、梅毒感染の現状は、風俗経由だけでは説明がつかないほどの増加になっているとも感じています。マッチングアプリを経由した不特定多数の性交渉についての報道もなされていますが、こうした社会的な状況も増加の理由として考えられるかもしれません。