「ロエベ」の巧みなスタイル、服とバッグのマリアージュ 職人技に浸る
連載《ファッションハック》Vol.35
クラシックやシンプルといった装いに、ひねりや意外性を加えるコーディネートが秋冬に向けて提案されています。世界トレンドを引っ張る存在となっている、スペイン発祥の老舗メゾン「LOEWE(ロエベ)」が2024-25年秋冬ウィメンズコレクションで披露したのは、テーラリング(本格仕立て)とクチュールの融合。日本でもファンの多いバッグをルックに盛り込んだ、巧みなスタイリングも高く評価されました。今回は「ロエベ」のランウェイコーデを通して、新たな着こなし方を探っていきます。 【写真はこちら】パンツルックにエレガンス、バッグがスパイスに…といった、記事に登場する魅力的なロエベのルックの写真はここからチェック!
■バッグ、自分らしさを映すアイテムとして重要に
服のトレンドでミニマル傾向が続いています。過剰な主張や装飾性を遠ざけるミニマルなファッションをまとう分、自分らしさを映す「ステートメント(宣言)」アイテムとして、バッグの役割がますます重要になっています。 ユニセックスやビッグサイズ、さらには異素材などのタイプも登場。バッグをセルフプロデュースの「柱」に据えやすくなってきました。 クラフトマンシップ(職人技)を注ぎこんだレザーアイテムで知られる「ロエベ」。その人気バッグを生かしたランウェイコーデから、これからの季節に取り入れたい着こなし方のヒントをご紹介します。
■パンツルックにエレガンス バッグで差し色投入
◇その1:気負わない雰囲気と強さ、二面性コーデ 気負わない雰囲気を重んじながらも、キリリとした強さを感じさせる二面性コーデが支持を広げています。 ピンクのシャツはオーバーサイズで、袖先も着余らせました。フロントは動きを捉えるアシンメトリーな「スピンドレープ」でリラクシングな風情。ベルトで引き締めて、タフなムードを加えました。 ゆったりしたパンツはスエード素材でリッチな印象を醸し出しています。 「ロエベ」を代表するシグネチャーシェイプの1つが「スクイーズ」バッグです。「絞る」という意味を持つ英語「squeeze」と名付けられたのは、肌触りの柔らかいハンドルから。手が痛くなりにくい点でうれしい持ち手です。 ドーナツ形の輪っかがつながった、長さを調節できるチェーンがアイキャッチ。気分に合わせてショルダー掛け、クロスボディー、ハンドル持ちに使い分けられる便利なチェーンです。グレーブルーがさわやかな差し色アクセントになっています。 ◇その2:ニットアップ、ストレスフリーで「きちんと感」も 着心地のよさを重視する「コンフォート」志向の装いが一段と勢いづいてきました。ニット素材で仕立てたセットアップは、ストレスフリーでありつつ、「きちんと感」を備えた重宝ウエアです。 ネイビーでそろえたニットアップはドレスのよう。ゴールドバックルのベルトでウエストマークして、パンツルックの気品を引き立てました。縦長に映る効果も強まる、お手本にしたいスタイリングです。 クラッチバッグのようにつかんだ感じで持った「フラメンコパース(Flamenco Purse)」はソフトでしなやかな質感が持ち味です。 自然なドレープが生まれるのは、滑らかなナッパレザーで仕立ててあるから。口を絞り閉じる引き紐(ひも)「ドローストリングプル」が目を引きます。 フラメンコパースはカラーバリエーションが多いので、今回のようにアクセント的な使い方に役立つ、コーデのキーピースです。こちらもクラッチ、ショルダー掛け、クロスボディーで雰囲気を変えられます。