足の不自由な息子が修学旅行で海外へ 転倒に忘れ物……想定外のアクシデントが続き、どうなる?
「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。 【写真】足の不自由な息子が修学旅行で海外へ 転倒に忘れ物……想定外のアクシデントが続き、どうなる? * * * 11月になりました。秋の行楽シーズンですね。修学旅行に行かれる学校も多いと思います。 我が家の高2の息子も、今月はじめにカナダへ修学旅行に行きました。足が不自由な息子は小学生の頃から校外学習のたびに学校とさまざまな調整をしてきましたが、大きくなるにつれ、検討内容は簡単なものになっていきました。そしてカナダ旅行では、まったく想定していなかった身体のこと以外のアクシデントが起き、バタバタな中で出発するという事態になりました。今回は息子の修学旅行について書いてみようと思います。 ■長時間のフライトでの足のむくみ 長時間飛行機に乗るにあたり、私が心配したのは足のむくみでした。狭い機内でずっと同じ姿勢でいると、血流が悪くなるのです。こまめにトイレまで歩いたり、ストレッチをしたりすることが良いとされていますが、過去に国際線を利用した時には、到着時に足がむくんで靴が履けず、車いすに乗って機内のスリッパのままホテルまで行くのが常でした。 私は息子に、担任の先生にはこのことをしっかり伝えるようにと何度も言っていましたが、難しい年齢の息子は自分の足のことを話すのを極端に嫌がるため、出発前日になっても本人から伝えることはなかったようです。仕方なく私が引率の教頭先生や担任の先生に過去の状況を説明し、何かが起きた時には先生方のご判断にお任せすることと、時差にかかわらず連絡してもらって構わない旨をお伝えしました。 出発当日。息子は友人たちと自宅近くの駅から成田エクスプレスで空港に行くことになっていました。私は「空港まで送らずに済んで良かった~!」と少しホッとし、駅前の駐車場で見送ろうとしましたが、息子は車を降りてすぐに歩道の段差でスーツケースが傾き、派手に転びました。休日の日中で駅前は混雑しており、このままひとりで行かせるのは危険だと思い、駅のホームまで付いていくことにしました。 ホームで親友くんたちと合流し、成田エクスプレスに乗車しました。息子は、小学校は京都、中学校は広島へ修学旅行に行きましたが、頼りになる親友くんたちがずっと一緒にいてくれ、今でもさりげなく息子を助けてくれる優しさを見ることができ、本当に嬉しく思いました。