フジツボの船底への付着を防ぐ安全な阻害剤合成に成功 岡山大など
通常、タテジマフジツボはキプリス幼生から4日すると付着して「幼体」という姿に変わる。しかし、スカブロライドFを入れた容器のフジツボは96時間経過後も水中を漂っており、容器に付着していなかった。フジツボは死ぬと体が膨張したり、白濁したりするが、死んだ個体はごくわずかだった。これは自然界の中での死亡率と変わらないことから、1ミリリットルあたり50マイクログラムの量でも毒性を示さず安全にフジツボの付着を阻害できることが確認できた。今後、生物や環境に優しい新たな付着阻害剤の開発につながることが期待されるという。
髙村准教授は「タテジマフジツボ以外の付着生物にも効くような物質を見つけたい。今回の研究は、合成に関与した大学院生をはじめ、フジツボの採集など様々な分野の研究者が携わることで成功した。この分野の研究に多くの研究者が参画し、フジツボをはじめとした生物付着による問題が解決されることを願っている」と話した。
研究は日本学術振興会の科学研究費助成事業を受けて行われた。成果は「オーガニック アンド バイオモレキュラー ケミストリー」電子版に5月23日に掲載され、岡山大学などが6月21日に発表した。