「次こそは成功を」 カイロス打ち上げ、150人が応援 今後に期待
民間単独としては初となる人工衛星の地球周回軌道投入に挑んだ小型ロケット「カイロス」2号機の打ち上げは18日、3月の初号機に続いて失敗した。宇宙への夢を乗せた挑戦を一目見ようと、串本町の発射場近くの海岸や各所に設けられたパブリックビューイング(PV)会場に集まった多くの人たちから「次こそは成功してほしい」と今後に期待する声が上がった。 【写真まとめ】「カイロス」、打ち上げられ上昇していたが… 和歌山市のイオンモール和歌山のPV会場では、約150人が見守った。発射の瞬間は「おーっ」という声とともに、拍手が起こったが、大型ビジョンでロケットの進路が曲がったように見えたため、笑顔が心配そうな表情に変わった。 ロケット型のバルーンと一緒に陣取った和歌山市の岩坪京雅ちゃん(5)は、過去4回の打ち上げ予定日に家族で見学場を訪れるほどのロケットファン。発射後はその姿が上空に消えるまで画面を見続けた。「前は爆発して残念だったけど、今日は打ち上がるのを見られてうれしかった」。その後、飛行中断となったが、「また頑張って成功してほしい」と笑顔で話した。 岸本周平知事は県議会本会議の中断中に、県庁内で中継映像を見守った。「青空に向かって飛んでいるロケットを見て感動した。失敗しても延期になっても挑戦する大人たちの姿が、子どもたちに良い教育効果をもたらしている」と語った。 発射場建設のため、地域の活性化を願って自宅を引き払った串本町の漁業、浜口和子さん(45)は発射の瞬間、「すごい、すごい」と思わず大声を上げた。「育った土地が生まれ変わって、人々が盛り上がる場所になってうれしい。失敗を教訓にアップデートしてほしい」と望んでいた。 南紀串本観光協会(串本町)の宇井晋介事務局長(68)は「観光的なミッションから言えば、打ち上がってくれたのは大きい。今までは見え方や軌道などが分からなかったが、今後は観光客に説明しやすい」と手応えをつかんでいた。【加藤敦久、駒木智一】