町民の約半数が高齢者 大阪・豊能町でAIオンデマンドバス社会実験
人の流れを増やして地域を活性化させたいというねらい
大阪府北部にある豊能町で、予約に応じて運行するAIオンデマンドバスの実証実験が行われています。人口減少と高齢化が進む中、同交通によって移動の利便性を高めて、人の流れを増やして地域を活性化させたいというねらいがあります。需要などを検証の上、2024年度の本格運行を目指します。 【拡大写真】大阪市で実験中の「オンデマンドバス」車両
人口はピーク時から約3割減、高齢化も進む
2月1日午前、能勢電鉄光風台駅の改札を抜け、駅前ロータリーの左側にある階段を登って片側1車線の道路に出ます。その道路を右折し、ゆるやかな上り坂を歩くと、AIオンデマンドバスの出発式が行われる公園に着きました。 ここまでの道中で、坂が多い地域であることがよくわかりました。特に足腰が弱い高齢者の場合、自家用車なしに外出するのは平地での生活よりもハードルが高いことが十分予想されました。
従来の路線バスの事業継続が難しい状況
豊能町は、大阪府北部の中山間地にある自治体です。人口は2022年12月の時点で1万8526人と、ピーク時の1995年から約3割減少。高齢化率は48.2%と町の人口の約半数に達しています。 阪急バスによると、同町に限らず、北摂地域の中山間部の自治体ではこうした人口減少と高齢化に加え、コロナ禍による移動制限などの要因で交通需要が減少。乗務員不足も相まって、従来の路線バスの事業継続が難しい状況になっているそうです。 このため、同町と同社は公共交通の維持に向けた協議を進めた結果、AIオンデマンドバスの社会実験を行うことを決めました。このバスは、予約が入ったときにだけ乗合運行することや、路線は定めず特定エリア内を運行するといった特徴があります。既存の路線バスより効率的に運行できるのではないかとして、全国各地で導入に向けた取り組みが行われています。
豊能町と民間会社2社による協議会で実験を実施
今回の実験を進めるのは、同町に加え、AIオンデマンドバスを実際に運行する阪急バスおよび京都タクシーの3者で構成する「豊能町AIオンデマンド交通実証実験協議会」です。この実験に際して、同協議会は大阪府に対してAIオンデマンド交通の実験を支援する補助金の交付を申請し、採択されています。 AIオンデマンドバスのサービス名称は「HANI+(ハニタス)」。阪急(HANKYU)バスの交通サービスとAIを組み合わせて新たな価値を生み出す、との思いが込められています。