マイカーなしでも移動しやすい街に 大阪・泉北ニュータウンで「AIオンデマンドバス」の実証事業
2024年度の本格運行目指す
大阪府堺市の泉北ニュータウンで現在、予約に応じて運行する乗り合い輸送サービス「AIオンデマンドバス」の実証事業が行われています。高齢者を含めて、幅広い層の住民の移動をよりしやすくする新たな交通手段の創出が目的。同事業を通じて住民の移動ニーズや事業性などを検証し、2024年度の本格運行を目指します。 【拡大写真】大阪メトログループが運営するオンデマンドバスの車両
効率運行が期待される「AIオンデマンドバス」
「AIオンデマンドバス」は、複数の乗客からほぼ同じ時間帯の予約が入った時に、AIで最適なルートを割り出して運行する交通機関です。 効率的な運行が期待できるとして、大阪市をはじめ全国各地で導入に向けた取り組みが進んでいます。
堺、和泉の両市にまたがる泉北ニュータウン、面積の約97%は堺
今回の実証事業が行われる泉北ニュータウンは、高度経済成長期に増えつつあった住宅需要に応えるべく、大阪府が開発しました。 堺、和泉の両市にまたがりますが、面積の約97%は堺市が占めています。
若者の他地域への転出が増える傾向
入居開始は1967(昭和42)年。1992(平成4)年には堺市側の人口が16.4万人となりましたが、2022年(令和4)年には11.4万人とピーク時の約7割にまで減少しました。 高齢化率は、1992(平成4)年の5.5%から2022(令和4)年には37.1%に増加。人口減少と少子高齢化が進み、若者の他地域への転出が増える傾向にあります。
昨年「SENBOKUスマートシティコンソーシアム」を設立
これに対して、堺市では泉北ニュータウンの活性化に向けた取り組みを推進。2022(令和4)年には、南海電気鉄道や西日本電信電話らとともに、ICTを活用して地域の課題解決を図る「SENBOKUスマートシティコンソーシアム」を設立しました。 今回の実証事業は、同コンソーシアムの施策の一部です。
停留所を計29か所設置
運行エリアは、泉北ニュータウン内の桃山台・鴨谷台の2地区と、泉北高速鉄道の光明池駅、栂・美木多(とが・みきた)駅、泉ヶ丘駅。地形に起伏がある他、各戸から路線バスの停留所まで遠い、といった課題を抱えています。 今回の実験では、エリア内にある各戸の半径100メートル以内を目安にして、3駅付近を含めて停留所を計29か所設置しています。