中学受験「1月に小学校休むか問題」に“異変”…欠席賛成派でも「やり過ぎ」と眉をひそめる実態とは
■登校してきた児童は「ちょうど1クラス分」 「小学校は義務教育という点も大きいと思います。高校では出席日数が足りないと留年や退学の可能性があります。ところが小学校はたとえ出席がゼロでも基本的に卒業はできます。さらに私立中学校は、欠席日数が確認できる調査書を提出させる学校は少ない。必要な学校でも6年生の2学期までが提出範囲ですから、たとえ3学期は出席がゼロでも中学側に伝わることはありません。1月から始まる3学期は長期欠席に対する歯止めが利いていないことが理由だと思います。私は休むことはやむを得ない部分もあると思いますが、受験に関係のない弟や妹まで欠席させるのはやり過ぎだと感じます」 6年生の1月は卒業式も目前に迫っており、友達同士の絆も強まっている時期だろう。そんな中で「受験組と非受験組で分断が起こることもある」と中学受験に詳しいフリーライターは話す。 「中学受験をしないクラスメートが、1カ月近く学校を休む受験組に対して『結局はずる休みだ』と非難するケースもあると聞きます。分断というと大げさかもしれませんが、クラスの団結感はなくなってしまいます。都内の小学校に勤務する先生が取材に応じてくれましたが、大半の小6が欠席してしまう日もあり、複数クラスでの授業が成立しないそうです。登校してきた児童を集めるとちょうど1クラス分の人数になるので、臨時の6年1組で授業を行うそうです。非受験組にとっては、『小6の1月に受験組が長期欠席した』ことが小学校一番の思い出となりかねません」 東京都の教育委員会は都内の私立中学への進学率を発表しており、それを元に一部報道機関では「中受が盛んな23区ランキング」を発表している。年によって細かな順位の変動はあるが、常連は上から順に【1】文京区、【2】中央区、【3】港区、【4】目黒区、【5】千代田区がベスト5だ。 各自治体はこの問題をどう捉えているのか。トップ5の区教委に見解を聞いた。 まず「1月から長期欠席する小6の存在を把握しているか?」と聞くと。5教委の回答はおおむね同じ内容で、「実数を把握する正式な実態調査は行っていない。しかし小学校からの報告などで『3学期になると長期間、学校を休む6年生がいる』ことは認識しており、背景に中学受験の影響があることも承知している」ということだった。