不登校34万人超。クラス担任、スクールカウンセラーにも限界が? 担任をもたない専任教員に期待か
◆忙しいクラス担任。増え続ける不登校の対応にも限界が?
文部科学省の令和5年度 「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、不登校の児童生徒は増加傾向にあり、小中学校においては34万6482人となっています(*1)。 現在、学校では不登校生徒に対してどのように対応しているのでしょうか。スクールカウンセラーとして20年以上従事してきた公認心理師の吉田克彦さんは、次のように語ります。 「中学校では、主にクラス担任の教員が中心となって不登校生徒の対応をしています。学校によっては、特別支援教育コーディネーターの教員が特別支援の面からサポートしたり、学年主任が関わったりすることもあるでしょう。しかし、特別支援教育コーディネーターや学年主任は他の仕事を兼務する場合も多く、不登校生徒へのケアが十分かというと難しい問題があります」 前述の文部科学省の調査によると、中学校は不登校生徒が1クラスに約6.7%(約2人)の割合で在籍しています。学校のクラス担任は授業の準備や部活動の指導もある中で不登校の対応をするため、しっかりと向き合うのが難しい場面も多いといいます。
◆「スクールカウンセラー」にある課題感とは
スクールカウンセラーの設置が国の方針として進むいっぽうで、保護者や当事者への情報伝達がうまくいかず、利用が進まないケースもあるといいます。 スクールカウンセラー制度は1995年9月から実施され、当時は各都道府県の小中高に各1名ずつの計3名が配置されました。配置件数は年々増加し、2020年度に計画された配置数では3万件を超えています(*2)。業務内容は児童生徒の相談・助言や、保護者や教員に対するカウンセリングなど多岐にわたりますが、不登校児童生徒の対応に絞ると、「ミスマッチな部分も感じる」と吉田さんはいいます。 「例えば、不登校児童生徒との面談は基本的に学校で行いますが、子どもたちからすると『登校するのがつらいのに、なぜ面談のために学校に行かなければいけないの?』と疑問を感じるケースがあるようです。なかには、面談のために登校した際に、クラスメイトと自分を比較してしまい『学校へ通えない自分は駄目な子だ』と落ち込んだり、校内でPTAなどの保護者と遭遇し、『こんな時間にどうしたの?』と質問されて傷付いたりすることもあります」 スクールカウンセラーとの面談は、基本的には平日の昼間に行われるため、共働きの保護者はスケジュールの調整が難しいケースもあるといいます。 また、「スクールカウンセラーは非常勤職員のため単年度更新となり、学校との引継ぎがうまくいかないと課題も残る」と、吉田さん。 「非常勤職員の場合、引継ぎはほぼありません。年度初めの4月は子どもにとっても、教員にとっても大切な時期。スクールカウンセラーも同時にスタートが切れるような工夫が必要だと思います。 常勤のスクールカウンセラーを設置すべきではないかという意見も聞きますが、個人的には学校との連携を考えた方がいいと思います。学校が引き継ぎ内容を共有し、改めてスクールカウンセラーにカウンセリング方法をオーダーしていくのがよいのではないでしょうか」 加えて、吉田さんは「スクールカウンセラーは基本的に1人で仕事にあたるため、新人の場合はカウンセリングの方法に悩むケースも多い。スクールカウンセラーの質を担保することも課題だ」と語ります。