不登校34万人超。クラス担任、スクールカウンセラーにも限界が? 担任をもたない専任教員に期待か
◆不登校やいじめ対応専任「生徒指導担当教員」の配置で体制強化
文部科学省では2025年度から、不登校やいじめに専任で対応する「生徒指導担当教員」を中学校に配置する方針を固めました(*3)。 不登校児童生徒の対応に関して学校現場でさまざまな課題が残る中、「生徒指導担当教員は、学校現場にとってかなり心強い存在となるのでは」と吉田さんは期待を語ります。 「スクールカウンセラーは週に1日の勤務がほとんどですから、担任教員と情報共有すらままならないこともあります。生徒指導担当教員には、担任教員やスクールカウンセラーの連携などの面からもサポートが期待できるでしょう」 また、生徒指導担当教員の配置により、今後、マニュアルやガイドラインが制定される見込みもあるそう。 「スクールカウンセラーの配置を機にガイドラインが作成されたことから、生徒指導担当教員に対しても同様になるのではと見込まれます。そうすると、不登校の対応に統率が取れるのではないでしょうか。特に中学3年生は進路選択の大切な時期ですから、対応の仕方が統一することは望ましいと思います」 不登校やいじめに関して、来年度から設置される中学校の生徒指導担当教員。不登校生徒に対してきめ細かな対応ができるよう、期待が募ります。 <参考> *1:「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(文部科学省) *2:スクールカウンセラーについて(文部科学省) スクールカウンセラー・スクールロイヤーについて(文部科学省) スクールカウンセリング制度の概要(文部科学省) *3:「教師を取り巻く環境整備 総合推進パッケージ」(文部科学省) 取材協力:合同会社ぜんと代表 吉田克彦 精神保健福祉士、公認心理師。福島県出身。大学在学中に不登校や引きこもりの問題を抱える家族支援を目的としたNPO法人を立ち上げる。その後、スクールカウンセラー(小学校・中学校・高校)、東日本大震災被災地心理支援、一部上場企業の企業内カウンセラーなどを経て、個人向けカウンセリングサービスと企業向けメンタルヘルスサービスを提供する合同会社ぜんとを設立し現在に至る。「不登校なんでも相談室」を運営。 この記事の執筆者:結井 ゆき江 中学受験雑誌の編集者として勤務したのち、フリーランスの編集者・ライターとして独立。教育や生き方、地域情報などを中心に取材・執筆を行う。グレーゾーンの小学生をサポートした経験も。
結井 ゆき江