7月から1都8県で試行「熱中症警戒アラート」とは?
今年7月から「熱中症警戒アラート」という情報が試験的に提供されています。8月6日には東京都、茨城県、千葉県を対象に初めて発表されました。一体、何を呼びかける情報なのでしょうか。 【図解】コロナ禍の熱中症対策、ポイントは?
暑さ指数「33」以上が予想される場合に発表
熱中症警戒アラートは、環境省と気象庁が共同で発表するもので、「暑さ指数」(WBGT)と呼ばれる指標が、翌日または当日に「33」を超えることが予想される場合に出されます。従来の熱中症危険度で最上位に位置付けられ、最高レベルで熱中症への注意を呼びかけます。 今年7月1日から試行されていて、対象地域は関東甲信の1都8県(東京、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨、長野)、対象期間は10月の第4水曜日までです。今回の試行結果を検証した上で、来年2021年から全国で本格運用する予定です。 「暑さ指数」とは、熱中症の予防を目的にアメリカで50年以上前に提案された指標で、(1)気温(2)湿度(3)輻射熱、の3つをもとに算出します。その際の比率は「1(気温):7(湿度):2(輻射熱)」で、単に気温が高ければ指数も上がるというものではなく、湿度が人体に与える影響を強く加味して発表します。気温と同様に度(℃)で表現するので、混同しないように注意が必要です。
環境省の熱中症予防情報サイトでは、この暑さ指数が「28」を超えると熱中症患者が急激に増加すると説明しています。 熱中症警戒アラートは前日の夕方か当日の早朝に発表されますが、実際に出た場合には、▽不要・不急の外出はできるだけ避ける▽エアコンなどがない屋内外での運動や作業は原則中止や延期する――などの対応を徹底し、熱中症を予防しましょう。
熱中症警戒アラートはなぜ試行されることになったのでしょうか。気象庁によると、近年、熱中症による搬送者は増加傾向で、「災害級の暑さ」と気象庁が表現して警戒を呼びかけた2018(平成30)年には1500人以上が死亡しました。こうした事態や今後の気候変動の影響を踏まえ、より効果的に国民の熱中症への予防行動につながる情報発信が重要だとして、環境省と気象庁が連携することになったのです。