追悼:2024年に亡くなった著名人
9月11日 アルベルト・フジモリさん(86)=元ペルー大統領
1990年にペルー大統領に就任し、日系移民として初めて一国の元首となった。96年に発生したペルー日本大使公邸襲撃事件では、特殊部隊突入を指揮して過激派ゲリラを殺害し、人質解放の「解決」に導く。独裁的な政権運営への批判が高まり、3選後の2000年の外遊でペルーに戻らず、辞任して日本で事実上の亡命生活を5年間送った。1938年、リマ郊外で生まれる。日本名は藤森謙也(けんや)。両親は熊本県出身の移民1世。数学者としてラモリナ国立農科大学の学長を務め、その後政界に進出。90年の大統領選に新党「変革90」を結成して出馬し、有名作家のマリオ・バルガス・リョサ氏(2010年にノーベル文学賞受賞)を破って当選した。92年に国会を閉鎖し、憲法を停止して強権的な体制を築き、その下で経済成長とインフレ収束に成功する。反対者からは「独裁者」として人権侵害、汚職の犯罪者と指弾される一方、支持者からは「救世主」と崇拝された。
9月29日 大山のぶ代さん(90)=声優、俳優
藤子不二雄原作のテレビアニメ『ドラえもん』で、ドラえもんの声を担当。国民的な人気キャラクターとともに、その独特な声が人々に親しまれた。1933年、東京生まれ。高校卒業後に俳優座養成所に入り、56年のNHKドラマ『この瞳』でデビュー。ハスキーボイスを買われて声優としての活動が増え、NHKの人形劇『ブーフーウー』の3匹の子豚のブー役、ちばてつや原作のテレビアニメ『ハリスの旋風』の主人公、石田国松役を演じた。長寿番組『サザエさん』でも69年の放送開始当初、磯野カツオ役を演じた。『ドラえもん』は1979年のスタートから、2005年3月まで26年間も続けた。08年に脳梗塞を患い、近年は介護を受けながら生活していた。
10月14日 中川李枝子さん(89)=児童文学作家
双子の野ネズミが主役の人気絵本『ぐりとぐら』(1963年)を世に出した、日本を代表する児童文学作家。『ぐりとぐら』は全22作のシリーズとなり、これまで累計の発行部数は2200万部を超えている。英語、中国語、韓国語、タイ語、クメール語、デンマーク語、フランス語など多くの言語に翻訳され、世界中の子どもたちが読み継ぐロングセラーとなった。1935年、札幌市生まれ。都立高等保母学院を卒業後、東京・世田谷区の保育園で保育士として勤めた。仕事の傍ら創作活動を始め、園児をモデルに書いた童話『いやいやえん』で62年に作家デビュー。『ぐりとぐら』は翌年に誕生。絵は妹の山脇百合子さん(2022年死去)が担当した。代表作はほかに『そらいろのたね』『ももいろのきりん』など。アニメ映画『となりのトトロ』の主題歌「さんぽ」の歌詞も手がけた。2013年、菊池寛賞受賞。