追悼:2024年に亡くなった著名人
10月17日 西田敏行さん(76)=俳優
映画の人気シリーズ『釣りバカ日誌』で、主人公の「ハマちゃん」こと浜崎伝助役を好演。NHKの大河ドラマでは、豊臣秀吉(1981年の『おんな太閤記』)、西郷隆盛(90年『翔ぶが如く』)、徳川吉宗(95年の『八代将軍吉宗』)、徳川家康(2006年の『功名が辻』)など数々の歴史上の偉人を演じ、人懐っこい笑顔で人々を魅了した「国民的俳優」だった。1947年、福島県郡山市生まれ。明治大学中退後、日本演技アカデミーを経て青年座俳優養成所に入った。71年の舞台『写楽考』で主役に抜擢され、80年のテレビドラマ『池中玄太80キロ』で主人公のカメラマン役を演じて人気を決定的にした。代表作はほかにも、映画『植村直己物語』(86年)、ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』の主人公テヴィエ役、テレビドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』シリーズなど多数。元気に日常生活を送り、仕事も精力的にこなす中、虚血性心疾患により自宅で倒れた。
11月13日 谷川俊太郎さん(92)=詩人、翻訳家
現代日本で最も知られ、親しまれた国民的詩人。10代から詩作を始め、1952年に処女詩集『二十億光年の孤独』を刊行。創作活動は生涯にわたり続き、その詩は英語、フランス語、ドイツ語、中国語、デンマーク語などに翻訳された。1931年、東京生まれ。父は法政大学総長の哲学者、谷川徹三。高校卒業後、大学に進学せずにぶらぶらしていたところ、父に将来を心配されたことから詩を書いた2冊のノートを見せたという。徹三は衝撃を受けてノートを詩人の三好達治に送り、それが文芸誌に掲載されて脚光を浴びたというエピソードがある。1964年の記録映画『東京オリンピック』(市川崑監督)で脚本を担当。英国の童謡集『マザー・グースのうた』や米人気漫画『ピーナッツ』、レオ・レオニ作の絵本『スイミー』などの邦訳、アニメ『鉄腕アトム』の主題歌作詞など、活躍の場は実に幅広かった。東日本大震災(2013年)の後には、1971年刊行の詩集に収められた「生きる」が再び広く読まれた。