【図解】新型コロナ「第6波」とは? 「第1波」から振り返る
●「デルタ株」の猛威と医療ひっ迫
「第5波」がこれほど急激に拡大したのは、アルファ株以上に感染力が強いとされるインド由来の「デルタ株の猛威」の影響が指摘されます。専門家によると、デルタ株は従来株より2倍、アルファ株より1.5倍程度、感染力が強いといわれました。 「第5波」のもう一つの特徴は、感染者の年齢構成です。4月以降、65歳以上の高齢者にワクチン接種が進んだ結果、新規陽性者に占める高齢者の比率は減少していました。その一方で、50代以下の中高年、若年層の感染が拡大。東京都のモニタリング会議は、6月中旬以降は50代以下が新規陽性者のうち9割以上を占めていると指摘しました。 感染が広がるにつれて、重症者も増えていきました。全国でみても重症者は2223人(9月3日)と過去最多を更新しました。 感染急拡大の影響で、東京を中心とした都市部の医療が危機的な状況に陥りました。8月20日の都のモニタリング会議は「40代・50代を中心に、重症患者が急激に増加しており、救急医療や予定手術等の通常医療も含めて医療提供体制は深刻な機能不全に陥っている」と警告。また、この時期は自宅療養中の死亡者も相次いで報告され、同会議は「深刻な事態」と憂慮しました。
●「オミクロン株」の急拡大と「第6波」(2022年1月~)
そして2022年1月、新たな感染拡大が始まっています。沖縄県では1月6日、981人の新規陽性者が報告されました。 政府は1月9日から沖縄、山口、広島の3県を対象に、まん延防止等重点措置を適用しました。しかし感染拡大は止まらず、“第6波”の様相を呈しています。1月18日には全国で3万人の大台を超え、22日には東京都で1万人を突破。この時点で過去最多の新規陽性者が報告されました。 感染者数は2月に入っても過去最多を更新し続け、2月3日には全国で10万4472人と初めて10万人を突破。東京都で2月2日に2万1576人と初めて2万人を超え、過去最多を更新しました。大阪府でも2月8日に2万人を超える新規感染者が報告されましたが、これは入力遅れ分も含まれていると報じられています。 厚生労働省の専門家組織「コロナ対策アドバイザリーボード」は3月2日の評価分析で、「デルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮」しているとし、「再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている」と説明。さらに重症度については「デルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低い可能性が示されているが、オミクロン株感染による入院例が既に増加している」と注意を呼びかけています。 1月21日からはまん延防止等重点措置を東京、愛知など13都県を対象に追加。さらに1月27日からは大阪や北海道、福岡など18道府県が追加され、2月5日からは和歌山県も適用されました。さらに東京など13都県は3月6日まで期間が延長され、2月12日からは高知県も追加。対象地域はこの時点で計36都道府県まで拡大しました。大阪や北海道など17道府県も3月6日まで延長した一方、山口や沖縄など5県については20日で解除しました。 東京や大阪、愛知、北海道など18道府県はさらに3月21日まで延長を決定されましたが、21日をもってすべての重点措置は解除されました。 (※)…記事内の新規陽性者数は「JX通信社/FASTALERT」のデータを参照