東京への“先手を打った”宣言発出、山際担当相「今のところ考えていない」
新型コロナ担当相を務める山際大志郎・経済再生担当相は25日夜、政府が「まん延防止等重点措置」に大阪など18道府県を追加することを正式決定したことを受けた記者会見で、東京都に「緊急事態宣言」を発出するかについて「国として東京都に対して、緊急事態措置を先手を打って考えているかについては考えていない」との見解を示した。 【動画】山際担当相が会見 北海道・大阪など18道府県に「まん延防止」適用へ
新規感染者数だけを見て判断することはない
東京都は病床使用率が50%を超えた場合に国に緊急事態宣言を要請することを検討するとの方針を示しているが、1万人前後の新規陽性者が連日報告される中で、病床使用率は1月25日時点で39.8%となっている。会見では記者から都の要請の前に国が宣言を発出するという選択肢はあるかとの質問が出たが、それに対し「立て付けとしては各地域の感染状況を見ながら国の方が主導して(宣言を)出せるようにはなっているが、今のところそれは考えていない」と述べた。 さらに「東京都に限らず地方自治体の長の皆さまとしっかりコミュニケーションを取りたい。緊急事態措置はより一段いろんな意味での制限をかける措置になる。(都とも)一概に『50%』ということで紋切りにやるということではなく、かなり密にコミュニケーションをとって相談しながらどうするかを決めていくことになる」と説明した。 濃厚接触者が発症している場合は検査なしで医師が陽性を診断できるようにするとの厚生労働省の方針や検査キットの不足などで、感染状況を正確に把握できなくなる可能性については「新規感染者数は追いかけなくてはいけない数字だと思うが、何度も申し上げているように、我々は医療のひっ迫度合いを見ながら物事を考えていかなくてはいけない。それ(新規感染者数)だけを見て判断することではない」と強調した。 改定された基本的対処方針の中で、重点措置の期間内での解除について言及したことについては「沖縄県は新規の感染者数が減りつつある。その減りようが早い場合には、医療のひっ迫はあまり考えなくてもいいという状況になる可能性がある」と述べた上で、「その場合は経済を止めたくないわけなので、速やかに解除したほうがいいのでないかという状況に、非常に希望的な観測だが、なる可能性がある。その選択ができるような用意を、ということで入れた」とした。 重点措置の適用などを諮問する「基本的対処方針分科会」は今年に入って3回開かれているが、専門家らが政府にコロナ対策を提言する「コロナ対策分科会」は昨年11月16日を最後に開かれていない。両分科会で会長を務める尾身茂氏から開催の提案があったことについて記者から問われると、「オミクロン株について集中的に議論いただくことは非常に有用だと思っている。できる限り早く分科会が開かれるようにした方がいいと思っている」と述べた。