ダウン症のある娘がハワイ留学で実感、障がいの有無に関係なく誰にでも「選択肢」がある社会
ダンスを始めて、娘の世界が広がった
私はというと、情けないことに未だに慣れない車の運転のせいで毎回、娘の習い事の送り迎えに苦戦していますが、「娘が慣れない英語で新しい環境にも臆せず頑張っているんだから、私も頑張らないと!」と自分に言い聞かせ、奮い立たせています(笑)。 そんな中、先日、ご褒美のような出来事がありました。 なんと、ハワイに来たら誰もが訪れるであろう「アラモアナ・ショッピングセンター」のあのセンターステージで、娘がダンスパフォーマンスをするという機会に恵まれたんです。 ステージ上で堂々と楽しそうに踊る娘の姿を見ながら、まさかこんな日が来るなんて、母としてこんなにうれしいことはないなと感慨無量でした。この後もダンスパフォーマンスのため、これまで行ったことがなかったような場所や、知らなかったショッピングセンターにも娘のおかげで行くことができ、色々な経験をさせてくれる娘に感謝の日々を送っています。 実はこのダンス教室との出会いは、あるダンスパーティーに参加したとき、たまたま同じテーブルだった方たちが、このダンス教室の生徒さんだったことがきっかけでした。「一緒に踊らないか?」と誘って下さったことがはじまりだったのです。 このダンスパーティーは、障がいのある人のために開催された「プロム」でした。プロムとは、プロムナード(舞踏会)の略称で、通常はアメリカの高校で開かれる卒業ダンスパーティーのように、パートナーと一緒に参加するもの。でも、このプロムは特別に、ダウン症のある娘をもつ二人のお母さんが、障がいのある人にもこうしたプロムの経験を楽しんでほしいという想いから、立ち上げられたもので、今では多勢のボランティアの皆さまの力や寄付で成り立っているそうです。とてもアメリカらしい素晴らしい活動だなと感じただけでなく、ダンス好きな娘はもちろん、私にとってもとても楽しい経験となりました。 ハワイに住んでまだ知り合いも経験も少ない私たちにとって、こうした機会のひとつひとつがとても貴重で、いつも声を掛けて誘ってくださる方たちには感謝しかありません。ハワイに来て、娘と共に経験させて頂いたことをシェアし、こうして伝えていくことで、巡り巡って何らかの形で恩返しできることがあればとご紹介させていただきました。 未だ未だ知らないことや、良い意味で驚くことの多いハワイ生活ですが、娘本人はもちろん、私自身もいろいろなものを吸収していきたいと思っています。最近、娘が学校で参加し始めた新たなクラブ活動や、受けている特別支援教育にも独特のものがたくさんあって興味深いので、また改めてご紹介させていただきたいと思います。
長谷部 真奈見(フリーアナウンサー)