ダウン症のある娘がハワイ留学で実感、障がいの有無に関係なく誰にでも「選択肢」がある社会
障がいの有無にかかわらず「変わらない選択肢」
娘の場合、まずは英語という言語や、アメリカのお金の数え方、時間や曜日や月など、アメリカで日常生活を送る上で学ばなければならないことが多いため、それを優先することに決まりました。「Fully Self Contained Classroom (学習支援のための少人数クラス)」に在籍して、基礎的なスキルを学びながら、選択科目(体育やダンスなど)の授業やホームルームの時間は通常の子たちと一緒に学んでいます。 もう一つ、アメリカの高校で日本と決定的に違うのは、卒業に向けて「サーティフィケート(certificate)」と「ディプロマ(diploma)」という2種類のコースがあって、どちらかを選ぶことができる制度があるということを、私も初めて知りました。 通常は、ディプロマ(大学受験資格が得られる単位修習証書)コースを選び、先生の評価によって必要単位を取得できれば卒業できることになります。娘の場合は、サーティフィケイト(高校卒業証明書)コースを選ぶことで、評価も単位も気にすることなく、自身のIEP(個別教育計画)で策定したゴールに向かって学ぶことが可能になりました。 よく日本でインクルーシブ教育(障がい、病気の有無をはじめ、国籍、性別、経済状況にかかわらず、子ども達が同じ環境下で教育が受けられること)について語られる際に、知的障がいのある子とない子との「学力の差」についてどうするのかということが問題になったりしますが、こうしたコース選択があれば、同じ科目を選択して同じ授業を受けながらも、それぞれの目標に向かって学ぶことが可能になり、なるほどと思った制度です。 かくしてスタートした娘のアメリカでの高校生活ですが、今では放課後にクラブ活動や、地域の公園のアクティビティに参加しています。ハワイでは各地域の公園でスポーツを教えてくれるアクティビティがあることを知人から聞き、早速アーチェリーのクラスに申し込んでみたのです。 娘にとって初めてのアーチェリー。さすがに初日は、注意事項のオリエンテーションから、弓の使い方に慣れるのが精一杯の様子でした。人一倍時間がかかる上、矢を標的に当てることは難しかったようですが、2回目からは徐々に動作もスムーズになり、的に当たるようになって来たのを見て、何でも挑戦させてみるものだなあ、と子どもの順応力に感心しました。 こうしたアクティビティは無料で提供されていて、近くに住んでいる同年代の子どもたちと一緒に楽しく学ぶことができるのです。