人生の最期「病院か在宅医療か」正解がわかった…!慣れ親しんだ家こそ「理想的な逝き場所」といえる理由
最後の奇跡
前出の東郷氏は、在宅医療の現場で、病院では経験しなかった奇跡のような瞬間を何度も見てきたと語る。 「自宅に帰ってくると、『ここで自分らしく、もう少し頑張って生きてみよう』と思うのでしょうね。自分が好きに過ごせる空間にいるだけで、体に力が戻ってくるのです。 ある高齢女性の患者さんは、喉に食べ物を詰まらせてしまい、心肺停止の状態になった。緊急入院して呼吸器が付けられ、延命措置として胃ろうの管が付けられました。 このまま病院で最期を迎えるのかと思ったら、この方は『絶対に家に帰りたい』と譲らないのです。『家に帰れないのなら、この場で殺してほしい』と。 退院不可能を主張する病院に家族が食い下がり、ついに自宅に帰れることに。退院後しばらく経つと自分で食べること、歩くことが出来るようになり、好きな絵も描けるようになったのです。これには家族はもちろん、私も大変驚きました。 体も心も元気を取り戻しながら、最愛の家族と幸せな時間を過ごす。人間、いずれはどこかで最期の時を迎えるわけですが、在宅療養は、奇跡を起こす治療法のひとつだと私は思っています」 慣れ親しんだ空間で、ストレスを感じず、ときには説明できない奇跡も享受する。在宅で最期を迎えることの意味は、かように大きいのだ。 『「トイレの扉をカーテンに」「浴室には浴槽台を」自宅で最期を迎える、家族に迷惑をかけない《最強リフォーム術》』へ続く 『週刊現代別冊 おとなの週刊現代 2024 vol.4 死後の手続きと生前準備』が好評発売中! 累計188万部の大人気シリーズが、大幅リニューアルでさらにわかりやすくなりました! 週刊現代の大反響記事を、加筆のうえ、ギュッとまとめた一冊です。
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