人生の最期「病院か在宅医療か」正解がわかった…!慣れ親しんだ家こそ「理想的な逝き場所」といえる理由
家ならポックリ逝ける
自宅療養によって、進行している病気の症状が改善することもある、と言うのは、訪問入浴などを通じて、1万人以上の患者と接してきた株式会社ウィズの代表で看護師の武藤直子氏だ。 「自宅療養がもたらす効果には、いつも驚かされます。ときには『入院中は病気の痛みに苦しんでいたが、自宅療養に変えた瞬間、それが和らいだ』という患者さんにもお会いします。暮らし慣れた場所に戻ることによって、ストレスが緩和されたり、我慢する必要がなくなるので、体にも良い影響が出るのです」 病院ではたばこは厳禁。酒もダメ。体のためを思えばそれがいいのだろうが、こうした嗜好品を適度に楽しむことで、生きる喜びを感じ、活力が生まれる人もいる。 「肺がんを患い長期間入院していた患者さんがいました。『人生の最後は自宅で過ごしたい』とご家族に伝え、自宅療養に変更。先日亡くなられたのですが、愛煙家だったその患者さんは、自宅でいつも幸せそうにぷかぷかとたばこを吸っていたそうです。 奥さん曰く『ある日、たばこを吸っていたら急に容体が悪化して、そのままポックリ逝った』とのこと。ご本人も最後に存分に好きなたばこを吸えて幸せだったと思うし、奥さんも好きなことをやらせてあげられて良かった、と満足そうでした」(武藤氏) 自宅で最期を迎えるには、在宅での診断を引き受けてくれる医師を探すことが不可欠だが、武藤氏によると、病院で患者を診る医師と、在宅医療を専門とする医師では、患者の診方や考え方も違うという。 「病院は病気そのものを治療する場所ですから、医師も病気を治すことに専念します。一方、在宅医は病気よりも、その人の人生観や性格に注目して、どうすれば最期の時まで人間らしさを保って生きてもらうことができるかを考えます。 結果、問診の仕方や、薬の出し方も違ってくる。後者のほうがその人に合わせた治療を行うので、病気の痛みも和らぎやすい。患者さん本位の治療方針が、患者さんに生きる気力を与えるのです」