究極にシンプルな“魚醤のパスタ”のつくり方
究極にシンプルな南イタリアの漁師町のパスタです。イタリアのコラトゥーラの代わりに日本のしょっつるやいしる、タイのナンプラーなどなんでも代用できます。人気の出張料理人岸本恵理子さんに気どらないふだんの料理を教えてもらいました。 【写真を見る】究極にシンプルな“魚醤のパスタ”のつくり方
■料理とは「地球上の生命体が幸せになれる方法」 プロの料理家やシェフにもファンが多い、出張料理人の岸本恵理子さん。広告代理店で10年働いた後、もともと得意だった料理を仕事にしたいと一念発起し、イタリアへ留学。イタリア各地のレストランで働きながら学んだ経験を基に、帰国後は出張料理人として活躍している。自他共に認める旅好きで、日本全国だけでなく、イタリア、ジョージア、フランス、中国、ベトナム、アメリカ、オランダ……と世界各国を旅しては、さまざまな郷土料理を味わってきた。そこにあるのは「現地で感動した味とその記憶を伝えたい」という想い。 「私の料理は初めて食べた料理だとか新鮮な味と言っていただくことも多いんですが、たいてい、かつてどこかで食べたおいしいものたちの再現なんですよ。育ってきた土地の味、父と母それぞれの故郷の味、旅先で味わった料理。私の胃袋と魂をつかまれた記憶の断片を再構築しているだけなんです」 おいしい料理や素材のためにはフットワーク軽く飛行機にもさっと乗ってしまうような食いしん坊の岸本さんだが、その軸には母の味がある。添加物などよけいなものは極力避けたい、旬の食材のもつ味を引き出したい、という気持ちは、母の手料理によって育てられたといえる。だからなのか、ご飯のお供としても違和感なくなじむ料理が多い。 「旬の素材をシンプルに料理するのが好き。世界各国の料理をつくりますが、たとえば、イタリアと中国の料理が似ていることも多いので、なじみがあるように感じることも。同じ青菜炒めでもバターを使えばイタリアの北部っぽくなるし、ココナッツオイルならマレーシアやスリランカ風、胡麻油なら中華になる。使う油の香りで、料理のイメージをアレンジするのも楽しいですよ」 今回はそんな岸本さんに、自分や家族、友人のためにつくる、気どらないふだんの料理を教えてもらった。 □“魚醤のパスタ”のつくり方 ◇材料 (軽めの2人分) ナンプラー:小さじ2 にんにく:1片分(皮をむいてつぶす) 赤唐辛子:1本(種を取る) 実山椒:10粒分(塩ゆでしたもの/刻む) EXV.オリーブオイル:大さじ1と1/2 パスタ:100g(リングイネやスパゲッティなど) (1)ソースの準備 ボウルにパスタ以外の材料をすべて入れて混ぜる。 (2)パスタを和える パスタを塩を入れずに袋の表記通りにゆでる。ゆで上がったら、ゆで湯大さじ1/2と一緒に1のボウルに入れ、すぐに全体を混ぜて乳化させる。 --------------- ――教える人 「岸本恵理子」 イタリアの伝統料理を軸に出張料理人として活動。個人宅や各地イベントでの料理のほか、雑誌へのレシピ提供や映画の料理制作など、食に関わる仕事全般を手がけている。厳選した材料でつくるフォンダンショコラなどの菓子も人気。自然派ワインにも精通している。 --------------- この記事は『四季dancyu 2023 秋』に掲載したものです。 文:藤井志織 写真:宮濱祐美子
藤井 志織