なぜ森保ジャパンは「絶対に負けられない中国戦」で5バックの守備的相手に1-0勝利できたのか…追加点奪えない課題も
中国は左右のウイングバックが加わる5バック状態となり、最終ラインの前に3人の中盤が、さらにはラ・リーガ1部のエスパニョールでプレーするウー・レイ、ブラジルから帰化したエウケソンの2トップまでが自陣でブロックを形成してきた。 中国のゴールに迫るほど、日本が攻め込むスペースがなくなる。前半から攻めあぐねた試合展開を、オマーン戦に続いて先発フル出場した大迫はこう振り返る。 「あれだけ引かれると我慢の時間が多くなると考えていたし、実際にもどかしい時間が続いた。でも、相手の方が状況的にはしんどかったと思うので」 対する日本の森保監督は、オマーン戦から先発メンバーを4人入れ替えた。 ただ、オーバーワークで戦線離脱した酒井宏樹(31・浦和レッズ)に代わる右サイドバックに室屋成(27・ハノーファー96)が、期限ぎりぎりの移籍で帰国できなかった冨安健洋(22・アーセナル)が植田直通(26・ニーム・オリンピック)に代わってセンターバックで先発したので、実質的に入れ替わったのは2人だけだった。 その一人、鎌田に代わってトップ下に入った久保建英(20・マジョルカ)が熱望していたポジションで躍動する。前半23分に右足から放たれたシュートが左ポストを直撃し、同38分にはペナルティーエリア外から利き足の左足を一閃。強烈な一撃は相手キーパーに防がれ、こぼれ球を詰めた大迫のシュートも左ポストに弾かれた。 嫌な雰囲気が漂い始めた40分に、右サイドの伊東が決まりごとにあえて反した。 「サイドバックが高い位置を取るようにして、そこに任せていたので自分はなかなかサイドでボールを受けられるシーンがなかった。そのなかで『やっぱり自分が行った方がいいかな』と思って、サイドで仕掛けてクロスを上げようと。それが出たシーンだった」 右タッチライン際でパスを呼び込み、すかさず縦へ1対1の勝負を挑む。自慢のスピードで瞬く間にマーカーを置き去りにして、そのままの体勢で低空の高速クロスを味方にではなく、相手キーパーとセンターバックの間に狙いを定めて放った。 先発を言い渡されてから、伊東は1トップの大迫へこんな言葉をかけていた。 「速いクロスを入れるので(ゴール前に)入ってきてほしい」 引いた相手を崩すセオリーはサイド攻撃。それも相手の守備陣が反応しにくい低く速いクロスを放つほど得点できる確率が高まる。右サイドバックの室屋ではなく、自分がサイドに張ってチャンスを作る。森保監督が求めた「臨機応変な対応」を実践した伊東のプレーに、チャンスを待ち続けた大迫も離れ業で応えてみせた。