FC東京復帰が決定的な長友佑都が11年前に語っていた「世界一のサイドバックとなって帰ってくる」の約束
くしくも今夏には森保ジャパンの盟友でもあるDF酒井宏樹(31・浦和レッズ)が9年ぶりに、FW大迫勇也(31・ヴィッセル神戸)が7年半ぶりにJリーグへ帰ってきた。 「ヨーロッパのトップレベルを知る彼らには経験があるし、むしろ彼らにとってはアジア最終予選が月一回のペースで続くなかで、移動の負担を考えればいい選択だと思う」 酒井と大迫の決断をこう受け止めた長友だが、同じ状況は自分自身にもあてはまる。日本人のフィールドプレーヤーでは前人未踏となる、4大会連続のワールドカップ出場へ。そのために左サイドバックとして、ナンバーワンの存在であり続けるために。新シーズンの去就が決まっていない時期から、長友はこんな言葉を残していた。 「僕自身は2022年を見すえてこれまでもやってきましたけど、ワールドカップへフォーカスする力がよりいっそう強くなっている。僕はもともとフォーカスする力がかなり強い人間で、自分が定めた目標をかなえた確率も高いけど、どこでプレーしても最後は意識で変わってくる。なので、意識だけはしっかりと高く保ちながら戦っていきたい」 ここにも恩師の金言が見え隠れする。36歳で迎えるカタール大会出場という意思さえぶれなければ、進んでいく道はおのずと追い求める過酷な環境となりうる。その上でJリーグに戻るならば、イタリアへ旅立つときに涙で誓ったFC東京以外になかった。 「もっともっとビッグになって、世界一のサイドバックとして再び青赤のユニフォームを着て帰ってきます。寂しいけど、これも自分が決めた道。信念を持って戦ってきます」 新型コロナウイルス禍で世界中のリーグ戦が中断していた昨年5月には、FC東京が開催したイベントにトルコからリモートで参加。古巣への変わらぬ愛を明かしている。 「僕のFC東京への思いはすごく強いから。もちろんまたプレーしたいけど、こればかりは僕の思いだけで成立するものじゃないので」 神戸なども獲得へ向けて興味を示したと報じられるなかで、ヨーロッパへ新天地を求めてから11年もの歳月を超えて、ついに古巣との両思いをかなえさせた。当時のチームメイトはDF森重真人だけになっているが、長友はピッチ外の武器を笑顔で自負する。 「コミュニケーションは自分の強みでもあるので。すぐに溶け込める自信はあります」 名前や実績だけで先発できるとも思っていない。特に左サイドバックには今年に入って森保ジャパンでデビューし、5試合に出場した24歳の小川諒也がファーストチョイスとなり、将来を嘱望される19歳のバングーナガンデ佳史扶も台頭している。 しかも、ともに左利きと長友とは異なる特長を持っている。だからこそ燃える鉄人が、最後にJ1リーグでプレーしたのは2010年5月15日。慣れ親しんだ「5番」ではなく「50番」を背負うと報じられている長友は、早ければ18日の横浜FC戦(味の素スタジアム)で、青赤のユニフォームを身にまとった勇姿を4144日ぶりに披露する。 (文責・藤江直人/スポーツライター)