異国の店主と土地の味。/内モンゴル料理店『草原の料理 スヨリト』
土井 食材が限られているからこそ生まれる料理の楽しみ方でもありますね。スヨリトさんは、その知恵をどうやって身につけていったんですか? スヨリト 羊飼いであり料理人だった父にいろいろ手ほどきしてもらいました。父の影響で14歳から料理をするようになり、現地の調理専門学校にも通って、その後、地元で自分のレストランも開いたんですよ。
土井 すでにオーナーの経験があったとは。日本に来られたきっかけはなんだったのでしょう? スヨリト 奥さんが2015年に日本に留学をしたのを機に、翌年に家族揃って来日しました。来日後は味坊グループの『羊香味坊』に7年間勤めて、羊の下処理や調理全般を担当していたのですが、2022年に独立してお店を始めました。
土井 この連載の初期の頃に、味坊グループのオーナーも取材したことがありますよ。故郷と、異国の日本でお店を営むのとでは別の大変さがあるとは思うのですが、特に大きな違いってありましたか? スヨリト モンゴル民族は肉があれば満足だけど、日本人は野菜と肉のバランスを考えて食事をするってことかな。炭火焼メニューなどに野菜を入れていますが、もっと日本人のお客さんが無理なく楽しめるメニューを考えることが課題です。
土井 モンゴルをガッツリ味わえる世界観だけど、些細なところで日本人の食事スタイルに寄り添っているわけですね。 スヨリト 今年6月には、ラム肉の茹で料理をメインにした『郷の味スヨリト』という2店舗目を北区の志茂にオープンしたり、週末は『青山ファーマーズマーケット』に出店したり、もっともっと内モンゴルの食に触れてもらえる場所を増やし中です。少数民族であるモンゴル民族の文化を、ワタシのお店を通して感じてもらえたら嬉しいので、これからも精力的に頑張っていきますよ。
インフォメーション
『草原の料理 スヨリト』 ◯東京都新宿区矢来町82 ウィルズウェイ神楽坂 第二ビル ☎︎03・5579・8812 11:00~15:00・17:00~23:00、土12:00~23:00、日・祝12:00~22:00 月休 interview: Hikaru Doi, photo: Kazuharu Igarashi, text: Shoko Yoshida
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