なぜ大阪女子マラで東京五輪“補欠”の松田瑞生が日本歴代5位の好記録で優勝できたのか…驚異の練習量と豪華ペースメーカー
山中美和子監督が組んだ練習メニューでは月間走行距離が「900~1000km」になるが、松田は自分を追い込んで、さらに距離を増やしてきた。 「マラソン練習の後半は『練習を落とせ』『休め』『やるな』と言われるぐらいずっと走っていました。監督は止めることしかしてないです。過去の自分を超えるには練習しかありません。月間走行距離は過去最高です。距離はふせさせてもらいますが、日本一と言われるぐらい積んできました」(松田) 具体的な距離はシークレットとしたが、テレビ解説を務めたアテネ五輪金メダリストの野口みずき氏は「月間1400km以上」と明かしていた。男子選手でも月間1200kmを超えるような選手はほとんどいない。ちょっと信じられないほどの距離である。 松田の努力と今回の快走を、瀬古リーダーは、「オリンピック補欠という悔しさがあって、この1年間本当に苦しい思いをしたと思います。その悔しさを見事、跳ね返して、大阪の地に2時間20分台の記録で戻ってきてくれました。MGCのチケットを渡したときに、こっちまで涙が出そうになりました。我慢強くここまでやってくれたなと思います」と高く評価していた。 今大会の好結果は3月の東京マラソンと名古屋ウィメンズマラソンなど今後のレースにも大きな影響を与えることになるだろう。 「今回はハーフの通過が1時間9分57秒でした。今後は2時間19分台のペースを刻んでいくのが基準になるのかなと思います」と瀬古リーダーが言えば、高岡寿成・中距離マラソン担当シニアディレクターも「チームメイトや同級生が自己記録を更新したことによって、自分もそれぐらいの記録に到達できるんじゃないかという意識の引き上げができると思います」と今後の好タイム続出を“予言”した。 2024年パリ五輪を目指す松田だが出場の可能性はどれくらいあるのか。 「やることはすべてやってきました。ひたむきに頑張ったことがこういう良い結果につながったのは素直にうれしいです」と自身の努力に胸を張ったが、「世界と戦うためにも粘り切りたかった。自分の弱さが出たかなと思います」と終盤の走りを課題に挙げた。 「夏のレースは終盤の10kmや5kmが勝負になってきます。五輪を見ても、そう感じたので、ラストスパートは大切です。今日がそのレースだったら負けていました。だからこそ、すごく悔しかったんです」