FigmaがAIでさらに進化! Web制作はもはや完全自動化目前? 「Config APAC 2024」現地レポ
山下氏: たとえばゲーム会社では、社内の他部署がパワーポイントのスライドを使っていても、ゲームデザイナーたちは、プレゼンテーションにFigmaを使っています。その理由は、彼らにはプロトタイプのレビューや、動作を伴うアイデアのピッチをするニーズがあるから。こういったあらゆるチームのユースケースに対応できるようにしたいですね。
ーー200億ドル(約2.9兆円)規模とされていたAdobeのFigma買収が解消された影響は? フィールド氏: 買収には(EUや英国の独占禁止法規制当局など)さまざまな政府機関の合意が必要でしたが、先が見えないと悟り、FigmaとAdobeは別の道を歩むことにしました。将来どうなるかわからない16カ月間は、社内の誰にとっても大変な時期であったことは確かです。でもその16カ月間、各チームがアクセルを緩めず、前進し続けたことを私はとても誇りに思っています。だからこそ、今回のConfigで多くのプロダクトを皆さんにお見せできましたし、来年にはさらに増えるでしょう。自分たちで歩む確信を再び取り戻した今、私たちは各地のコミュニティのサポートに全力を尽くしています。 ーーFigma が本国以外で最初に立ち上げた海外拠点は日本。Figmaにとって2023年度に世界で最も成長した地域となったのも日本でした。今回アジアで最初のConfigが日本でなくシンガポールだったのは日本のユーザーにとって少し残念だったのでは? 山下氏: シンガポールは多くの国にとってハブとなりえる位置にあります。だから、より多くの人が来るのに便利な場所としてシンガポールを選びました。でも間違いなく、私たちはイベントを含め日本で多くの時間を過ごしてきましたし、今後も日本に投資するつもりです。今日の会場でも皆さんがとても温かく迎えてくれましたが、アジアのコミュニティの多くは、学ぶ意欲が高く、新しいスキルを身につけたい人たちがたくさんいます。 フィールド氏: だから私たちは常にコミュニティから学ぼうとしています。コミュニティとのつながりが、どんな市場のニーズにも適切に対応できるようにFigmaを成長させてくれるからです。 ◇ ◇ ◇ 2023年に本国で行われたConfigは8,500人が参加したが、2024年は10,000人超と17%増。前夜祭にはクラブイベントも行われ、ごった返す会場ではFigmaグッズショップに長蛇の列ができるなど、2度目の開催にして「サンフランシスコの夏の風物詩」と化すお祭り騒ぎだったという。 その内容をギュッとまとめてコンパクトにアジア向けに展開したConfig APACでは、「スターウォーズ」シリーズなどハリウッドを代表するSFX映画で活躍するFeng Zhu氏 (FZD School of Design CEO 兼アート ディレクター)、チームラボ取締役の堺大輔氏など、アジア出身クリエイターも数多く登壇。プレゼンにもアジアの文化を考慮した気配りが感じられ、アジア圏コミュニティを本格的に盛り上げていこうとしているFigmaの意気込みが感じられた。
ユーザー数が現在伸び調子だという韓国やインドなど、各国からのアクセス、そして複数言語対応不要な英語圏であることを考えても、シンガポールという場所選びは合理的な判断だったのだろう。AIの進化と併せ、アジアでのFigmaユーザーの広がりにも注目だ。